在留資格(ビザ)の更新申請の申請中に期限が切れたら?「特例期間」の就労・出国のルールと注意点を解説

日本の出入国在留管理庁(入管)において、「在留期間の更新」または「在留資格の変更」の申請を既に行った状態で、許可が下りる前に現在の在留期限が過ぎてしまった場合の法的ルールと注意点について解説します。

期限が切れても「特例期間」により不法滞在にはならない

申請を出した状態で現在の在留期限(満了日)を迎えても、ただちに不法滞在(オーバーステイ)になることはありません。出入国管理及び難民認定法(入管法)により「特例期間」という保護措置が適用されます。

特例期間とは?

在留期間更新や変更の申請を行った外国人が、審理中に現在の在留期限を迎えた場合、以下のいずれか早い方の日まで引き続き従前の在留資格のまま日本に合法的に滞在できる制度です。

  1. 申請に対する処分(許可・不許可など)がなされる日
  2. 従前の在留期間の満了日から「2ヶ月」が経過する日

ポイント:

審査には数週間〜数ヶ月かかる場合がありますが、申請さえ正しく受理されていれば、期限をまたいでも最大2ヶ月間は合法的に結果を待つことができます。

特例期間中に守るべき重要ポイント・注意点

1. パスポート・在留カードの裏面を確認する

オンライン申請ではなく窓口で申請した場合、在留カードの裏面に「在留期間更新許可申請中」または「在留資格変更許可申請中」というスタンプが押されます。 これが特例期間中であることの証明になるため、常時携帯してください。

オンライン申請の場合は申請が正常に受理されると、登録したメールアドレスに入管から「申請受付完了メール」が届きます。

  • このメールには申請番号、申請年月日、対象者氏名などが記載されています。
  • 万が一、警察官や行政機関、勤務先などから在留資格の確認を求められた場合は、「現在の在留カード」と「申請受付完了メール(画面提示または印刷したもの)」をセットで提示することで、特例期間中であることが証明できます。

2. 就労や活動の条件

特例期間中は、「これまで受けていた在留資格の条件」がそのまま適用されます。

  • 就労ビザ(「技術・人文知識・国際業務」など): 従前通りフルタイムで働くことができます。
  • 留学ビザ(資格外活動許可あり): 週28時間以内のアルバイト許可がそのまま継続します。
  • 注意: 変更申請(例:留学から就労)を出している場合でも、許可が出るまでは「留学」のルールのまま(週28時間以内)行動しなければなりません。新しい在留資格の業務をフルタイムで始めることは違法(不法就労)となります。

3. 特例期間中の「海外出国」は原則控える

特例期間中に日本国外へ出国すること自体は再入国許可(みなし再入国許可含む)を受ければ可能ですが、極力避けることが推奨されます。

  • 出国中に審査結果(通知ハガキ)が届いた場合、期限内に日本に戻って新カードを受け取らないと失効するリスクがあります。
  • 出国先で特例期間の2ヶ月が経過してしまうと、日本に再入国できなくなります。

4. マイナンバーカードの有効期限

在留カードの期限が切れると、マイナンバーカードも一時的に失効・使えなくなる場合があります。特例期間に入ったら、市区町村の役所でマイナンバーカードの有効期限延長手続き(特例期間に合わせた延長)を行ってください。

「申請前」に期限が切れてしまった場合は?

もし申請を出さずに期限が切れてしまった場合は、特例期間は適用されず「オーバーステイ(不法残留)」となります。

  • 速やかに入管へ出頭する: 自発的に出頭した場合、退去強制手続きにおいて配慮されるケースや、状況によっては特別に手続を行える場合があります。
  • 放置しない: 放置すると不法就労・不法滞在として摘発対象となり、最長5年〜10年の日本への上陸拒否対象になります。

FAQ 1:特例期間中、アルバイトや仕事は続けられますか?

A. できます。

ただし、「申請前の在留資格で認められていた範囲内」に限られます。

  • 就労ビザ(「技術・人文知識・国際業務」など)の方: 従前と同じ会社・職種でフルタイム勤務が可能です。
  • 留学ビザ(資格外活動許可あり)の方: 許可の範囲内(週28時間以内、長期休業期間は1日8時間以内)でアルバイトを継続できます。
  • 注意: 留学から就労ビザへの変更申請中の場合でも、許可が下りるまでは「留学」のルール(週28時間以内)が適用されます。フライングでフルタイム勤務を開始すると不法就労になります。

FAQ 2:審査結果はいつ頃出ますか?

A. 通常は2週間〜1ヶ月程度ですが、申請内容や時期によって異なります。

標準処理期間は2週間〜1ヶ月程度とされていますが、混雑期(3月〜4月頃)や追加の審査が必要な場合は1〜2ヶ月以上かかるケースもあります。万が一、元の在留期限から2ヶ月が経過しそうになっても通知が届かない場合は、申請した入管に審査状況を問い合わせてください。

FAQ 3:特例期間中にマイナンバーカードが使えなくなりました。どうすればいいですか?

A. 市区町村の役所で「有効期限の延長手続き」を行ってください。

マイナンバーカードの有効期限は、原則として「在留カードの有効期限」と連動しています。在留期間の更新申請を行うと、マイナンバーカードの期限も延長できます。

  • 必要書類: マイナンバーカード、在留カード(裏面スタンプ付き)または「オンライン申請の受付完了メール」の印刷物
  • 注意点: 本来の在留期限までに役所で手続きを行わないと、マイナンバーカードが失効し、再発行(手数料発生)が必要になります。

FAQ 4:申請中にパスポートの有効期限が切れてしまいそうです。

A. 新しいパスポートを取得次第、入管へ提示・届出を行ってください。

在留更新申請自体はパスポートの有効期限内に行われていれば受託・審理されますが、新しい在留カードの受け取りまでに新パスポートを更新・取得した場合は、受取時に新旧両方のパスポートを持参してください。

FAQ 5:特例期間中に結果が出ず、2ヶ月が過ぎそうな場合はどうなりますか?

A. 原則として、2ヶ月を経過した時点で不法滞在(オーバーステイ)になります。

入管法上、特例期間の上限は「処分がなされる日」または「従前の満了日から2ヶ月」のいずれか早い方です。ただし、入管側の不測の処理遅延などで2ヶ月を超える見込みがある場合は、2ヶ月を迎える前に入管窓口へ直接赴き、指示(一時的な在留資格の付与や処理状況の確認)を受ける必要があります。

FAQ 6:結果が「不許可」だった場合はどうなりますか?

A. 「特定活動(出国準備期間)」への変更手続き等を行うことになります。

特例期間中に不許可処分が下りた場合、ただちに強制送還されるわけではありませんが、入管に出頭して説明を受け、通常は「出国準備」のための在留資格(特定活動・30日または31日など)へ切り替えて指定期日までに帰国することになります(条件を満たせば再申請や不服申し立ての検討も可能です)。

FAQ7:特例期間中に出国できますか?

A.特例期間中であっても、再入国許可またはみなし再入国許可を利用すれば日本から出国することは可能です。

注意点・ルール

  • 期限内の再入国が必須: 元の在留期限から最長2ヶ月間の特例期間が終了する日までに、必ず日本に再入国し、新しい在留資格の結果を受け取る必要があります。
  • 期間を超えると失効: 特例期間が過ぎても日本に戻らない場合、または出国中に特例期間が経過してしまった場合は、保有していた在留資格が失効します。
  • 結果の受取: 出国中に審査結果が出たとしても、原則として特例期間内に日本に戻り新しい在留カード等を受領しなければなりません。

FAQ8:出国中に許可が出て不許可だった場合帰国できますか

A.出国中に不許可になった場合でも、特例期間の期限内(元の在留期限から2ヶ月以内)であれば、現在の「みなし再入国許可」や「再入国許可」を使って日本へ入国(帰国)すること自体はシステム上可能です。

ただし、帰国した後に非常に重い手続きとリスクが待っています。

  1. 「出国準備期間」への切り替え手続きが必要
    日本に帰国できたら、すぐに(通常は翌日などに)入管へ出頭しなければなりません。そこで不許可の具体的な理由を聞いた上で、現在の在留資格から「特定活動(出国準備目的、期間は30日または31日)」という資格に切り替える手続きを行うことになります。
  2. そのまま日本に住み続けることはできない
    「出国準備」の資格に切り替わった後は、指定された期限(30日など)の間に、日本での生活を片付けて本国へ帰国する準備をしなければなりません。
  3. リカバリー(再申請)の難易度が上がる
    もし不許可の理由が「書類の不備」など軽微なもので、すぐに修正して再申請(もう一度チャンスを もらう)できる内容であれば、出国準備期間中に再度申請を受け付けてもらえる場合もあります。しかし、海外にいる間は理由の確認が遅れるため、再申請の準備をする時間が圧倒的に足りなくなります。

まとめ

在留期間の更新・変更申請を入管を受理した状態であれば、期限を過ぎても最大2ヶ月間の特例期間が認められるため安心してください。ただし、審査中の活動範囲は「申請前のビザの条件」に従うこと、またマイナンバーの延長手続きなどを忘れないよう注意が必要です。

代表行政書士

行政書士新川健人
行政書士新川健人
・日本行政書士会連合(登録番号第25271950号)
・京都府行政書士会(会員番号第3070号)
・申請取次行政書士(第172025200209号)
京都在住。外国人の就労ビザ、配偶者ビザ申請、国際結婚など国際業務を専門。スピード対応が得意。