【令和8年最新】「経営・管理」厳格化と「技人国」の増加から見る在留資格申請の重要ポイントと入管動向

出入国在留管理庁(入管庁)が発表した最新の統計や施策から、日本の外国人受け入れと管理体制が大きな転換期を迎えていることが窺えます。

在留外国人数が過去最多を更新する一方で、政府は「不法滞在者ゼロプラン」のもとで取締りを一段と強化しています。

本記事では、最新の入管統計とデジタル・フォレンジック(電子鑑識)導入の背景を整理し、今後企業や外国人が留心すべき「在留資格申請・雇用管理のポイント」を解説します。

1. 最新の入管動向

① 在留外国人は過去最多の428万人へ

令和8年上半期の統計によると、在留外国人数は428万1,026人に達し、過去最多を更新しました。

  • 国籍別: 中国(約94.1万人)が最多で、ベトナム、韓国が続いています。
  • 在留資格別: 「永住者」(約96.1万人)に続き、専門職・オフィスワーク層を担う「技術・人文知識・国際業務(技人国)」が約51.6万人(前年末比8.5%増)と大きく伸長しています。

② 不法残留者は減少傾向も、政府は取締りを本格強化

不法残留者数は6万5,229人と半年間で4.8%減少しました。しかし、依然として多くが不法就労状態にあるとみられています。

これに対し、入管庁は来年度よりデジタル・フォレンジック(電子鑑識)の本格導入を決定しました(関連経費5,000万円を概算要求)。

  • 背景: 不法就労では書面契約が交わされず、SNS上のやり取りが消去・書き換えられるケースが頻発していました。手作業による画面撮影に頼っていた従来の捜査から脱却し、消去されたデータの復元・解析を行うことで、悪質な「ブローカー」や不法就労を助長した雇用主・事業者側の摘発を強化します。

③ 要件厳格化の影響(「経営・管理」の急減)

実体のない会社設立などが問題視されていた在留資格「経営・管理」については、資本金要件が従来の「500万円以上」から「3,000万円以上」へ引き上げられるなど要件が厳格化されました。その結果、同資格での新規入国者が前年同期比で約8割減少するなど、適正審査の波が数字にも如実に表れています。

2. 最新動向を踏まえた「在留資格申請・外国人雇用」のポイント

入管庁の取締り・審査厳格化が進む中で、企業や外国人がトラブルを避け、確実に許可を得るためのポイントは以下の4点です。

ポイント①:雇用主側の「不法就労助長罪」への対策(コンプライアンス徹底)

電子鑑識の導入により、ターゲットとなるのは不法滞在者本人だけでなく「雇用した企業・事業者」です。知らなかったでは済まされないため、以下の確認徹底が求められます。

  • 在留カードの確認: 偽造でないか、有効期限内か、就労不可の資格(「家族滞在」や「留学」など)でないかを確認する。
  • 資格外活動許可の確認: 留学生などを雇う場合、週28時間制限を厳守し、SNSでの口約束ではなく適切な労働条件通知書・雇用契約書を作成・保管する。

ポイント②:「実体」と「合理性」のある申請書類の作成

「経営・管理」の要件厳格化に見られるように、入管庁はペーパーカンパニーや虚偽申請に対する審査を非常に厳しく行っています。

  • 職務内容と本人の学歴・職歴の関連性(「技人国」など)
  • 事業の継続性・安定性やオフィスの実体(「経営・管理」など) これらを証明するため、公的証明書だけでなく、具体的かつ説得力のある事業計画書や業務説明書を用意することが不可欠です。

ポイント③:SNSやデジタルメッセージの管理と透明性

今後は電子データ(メール、LINE、SNSのやり取りなど)も証拠として解析されます。口頭やSNS上での曖昧な指示・給与支払いなどは、後から不法就労や賃金未払いなどの疑いをかけられるリスクになります。採用経緯や就労指示は、すべて透明性の高い公的・公式なフォーマットで記録を残すことが重要です。

ポイント④:在留期限・変更手続きの計画的な準備

不法残留(オーバーステイ)にならないよう、企業・個人ともに期限管理を徹底する必要があります。審査期間が長期化するケースも増えているため、期限満了の3か月前から余裕を持って更新・変更手続きを進めることが推奨されます。

雇用主・企業からのよくある質問

Q1. 採用予定の外国人が「在留カード」を持っています。これを確認すれば不法就労助長罪に問われることはありませんか?

A. カードの提示を受けるだけでなく、失効していないか・裏面記載の変更がないか・資格外活動許可の有無などを正しく確認する必要があります。

表面の「在留期間(満了日)」や「就労制限の有無」に加え、偽造カードでないかの確認が推奨されます。また、「留学」や「家族滞在」の場合は、裏面の「資格外活動許可欄」に許可印があるか、週28時間制限(風俗営業等の禁止を含む)を守れているかがポイントです。

Q2. SNSや知人経由で紹介された外国人をアルバイトとして雇いたいのですが、注意点はありますか?

A. 採用経緯の透明性を保ち、口頭やSNSだけの約束ではなく正式な「労働条件通知書・雇用契約書」を交付してください。

記事にある通り、入管庁は電子鑑識(デジタル・フォレンジック)を導入し、SNS上のやり取り復元も含めて不法就労や悪質なブローカーの介在を捜査します。「SNSで気軽に集めて現金手渡しで働かせる」といった運用は、後から不法就労助長を問われる大きなリスクとなります。

Q3. 「経営・管理」の要件が厳格化されたと聞きましたが、すでに取得している人の更新にも影響しますか?

A. 更新審査においても、事業の実体や継続性・安定性がより厳密に評価される傾向にあります。

新規取得時の要件引き上げ(資本金3,000万円以上など)に伴い、既存の「経営・管理」保持者についても、決算内容や事業所の実体、適切な雇用状況などが厳しくチェックされます。休眠状態に近い会社や、実体の伴わない事業計画の場合は更新が不許可となるリスクが高まっています。

外国人ご本人からのよくある質問

Q1. 「技術・人文知識・国際業務(技人国)」で働いていますが、副業(アルバイト)はできますか?

A. 原則として、現在の在留資格で認められた業務範囲外の副業はできません。

どうしても行う場合は、事前に入管へ「資格外活動許可」を申請し、許可を得る必要があります。ただし、主たる業務(技人国)に支障が出ない範囲であることや、単純労働ではないことなど制限が厳しいため、無許可での副業は不法就労(資格外活動違反)となる恐れがあります。

Q2. 会社の業務内容が変わったり、転職したりした場合は何か手続きが必要ですか?

A. 転職した場合は14日以内に入管へ「所属機関に関する届出」を行う必要があります。また、必要に応じて「就労資格証明書」の取得が推奨されます。

転職先の業務内容がご自身の学歴・職歴および持っている在留資格(技人国など)に適合しているかが重要です。次の更新時に「業務内容が資格に合わない」として不許可になるのを防ぐため、転職時に就労資格証明書を取得してあらかじめ確認しておくことが安全です。

Q3. 在留期間の更新手続きはいつから申請できますか?

A. 通常、在留期限の「3か月前」から申請可能です。

審査には時間がかかる場合があるため、期限ギリギリではなく、3か月前になったらすぐに準備を始めて申請することをお勧めします。申請中であれば、期限が過ぎても結果が出るか特例期間(最長2か月)までは合法的に滞在・就労できますが、申請を行わずに期限を過ぎると「不法残留(オーバーステイ)」になってしまいます。

まとめ

在留外国人の増加に伴い、合法的に働く専門人材(「技人国」など)のニーズは高まる一方ですが、制度を悪用した不法滞在・不法就労に対する国の姿勢はこれまで以上に厳しくなっています。

企業も外国人本人も、「正確な情報開示」「実体の証明」「徹底したコンプライアンス」を意識して在留資格の申請・管理を行うことが、今後の安定した就労環境・事業運営の鍵となります。

代表行政書士

行政書士新川健人
行政書士新川健人
・日本行政書士会連合(登録番号第25271950号)
・京都府行政書士会(会員番号第3070号)
・申請取次行政書士(第172025200209号)
京都在住。外国人の就労ビザ、配偶者ビザ申請、国際結婚など国際業務を専門。スピード対応が得意。