【2026年最新】登録支援機関とは?役割・要件から自社支援との違いまで分かりやすく解説

出入国在留管理庁の制度において、受入れ機関(特定技能外国人を受け入れる企業等)に代わり、外国人材の支援計画を作成・実施する専門機関が登録支援機関です。

2019年4月に創設された「特定技能」制度において、特定技能1号の外国人を受け入れる企業には、生活や業務面での手厚い支援を行うことが義務付けられています。しかし、社内に自社支援のノウハウや体制がない場合、この支援業務全般を外部委託できる委託先となるのが登録支援機関です。

登録支援機関の主な支援業務

特定技能1号外国人が日本でスムーズに生活し、業務に専念できるよう、出入国管理及び難民認定法に基づき主に以下の支援(義務的支援)を実施します。

  • 事前ガイダンスの実施(労働条件、活動内容、入国手続き等の説明)
  • 出入国の送迎(空港等への送迎)
  • 住居確保・生活必要な契約の支援(賃貸契約の補助、銀行口座開拓、携帯電話契約等)
  • 生活オリエンテーションの実施(日本のルール・マナー、公共機関の利用方法等の案内)
  • 日本語学習機会の提供(日本語教室の案内や学習支援)
  • 相談・苦情への対応(母国語等による相談窓口の開設)
  • 各種行政手続きへの同行・支援(役所での住民登録、税金手続き等)
  • 日本人との交流促進(地域イベントや自治会活動への参加支援)
  • 転職支援(人員整理等のやむを得ない事情による離職時の次の就労先探し)
  • 定期的な面談・行政への報告(外国人および上司との定期的面談、出入国在留管理庁への報告)

登録支援機関になるための主な要件

登録支援機関として出入国在留管理庁長官の登録を受けるには、欠格事由に該当しないことに加え、支援を適切に遂行できる人的・組織体制の要件を満たす必要があります。

1. 支援体制に関する要件

以下のいずれかに該当し、支援の実績または体制を有している必要があります。

  • 過去2年間に中長期在留者(就労資格等)の受け入れ・管理実績がある。
  • 過去2年間に報酬を得る目的で適正に外国人に対する相談業務を行った経験がある。
  • 役員または職員の中に、過去2年間に中長期在留者の支援・管理に従事した経験を持つ者がいる。
  • 上記と同等以上に支援を適正に行うことができると認められる(行政書士等の専門家の関与や体制の構築など)。

2. 拒否事由(欠格事由)に該当しないこと

  • 登録申請前5年以内に、出入国または労働法令に関する違反がないこと。
  • 5年以内に特定技能外国人の失踪者を発生させていないこと。
  • 暴力団員または暴力団と密接な関係を有する者でないこと。
  • 支援責任者および支援担当者が適切に選任されていること。

3. 母国語等による支援体制

支援を実施するにあたり、対象となる外国人が十分に理解できる言語(母国語など)で相談・支援を行える通訳・通訳体制が確保されていることが不可欠です。

登録申請の手続きと流れ

登録支援機関として活動を開始するまでの基本的な手順は以下の通りです。

  1. 要件確認と体制の準備自社が拒否事由に該当しないか確認し、支援責任者・支援担当者の選任、通訳体制の手配、社内規程等の準備を進めます。
  2. 申請書類の作成・収集登録申請書、支援業務を行う体制を証する書類、誓約書、役員の住民票、定款・登記事項証明書などを準備します。
  3. 出入国在留管理局への申請本社所在地を管轄する地方出入国在留管理局(または支局・出張所)へ申請書類を提出し、登録手数料を納付します。
  4. 審査・登録の完了入管による審査が行われます(概ね2〜3ヶ月程度)。審査を通過すると「登録支援機関登録簿」に登録され、登録通知が交付されます。

登録支援機関に関するよくある質問(FAQ)

Q1. 行政書士や社会保険労務士などの専門資格がなくても、登録支援機関になれますか?

A. はい、特別な国家資格がなくても登録は可能です。

ただし、「過去2年間に中長期在留者(就労系資格)の受入・管理実績があること」や「過去2年間に報酬を得て適正に外国人相談業務を行った経験があること」などの実務実績・要件を満たす必要があります。自社に実績がない場合は、実務経験のある支援責任者・担当者を雇用するなどの体制整備が必要です。

Q2. 登録支援機関の登録有効期間はどのくらいですか?

A. 登録の有効期間は「5年間」です。

更新して業務を継続する場合は、有効期間が満了する日の3ヶ月前から前日までに、出入国在留管理局へ登録更新の申請を行う必要があります。

Q3. 登録手数料や申請費用はいくらかかりますか?

A. 入管に支払う登録手数料は、新規登録時で「28,400円」です。

(※収入印紙にて納付します。更新時の手数料は11,100円です。)

なお、自社で申請せず行政書士に書類作成や提出代行を依頼可能です。

Q4. 自社の社員を特定技能外国人として受け入れつつ、自社が登録支援機関になって支援することはできますか?

A. はい、可能です(自社支援)。

ただし、受入企業(特定技能所属機関)自体が自社で支援を行う(登録支援機関を挟まない、または自社が登録支援機関として自社社員を支援する)場合でも、過去の受入実績や中立的な支援担当者の選任など、一定の要件を満たす必要があります。

Q5. 登録支援機関の登録にはどのくらいの審査期間がかかりますか?

A. 申請から登録完了まで、標準的な処理期間として「約2ヶ月〜3ヶ月」程度かかります。

申請書類の不備や確認事項がある場合はさらに時間を要することもあるため、事業開始の予定時期から逆算して余裕を持ったスケジュールで準備を進めることが重要です。

Q6.特定技能外国人を自社で支援する場合(自社支援)と、登録支援機関に委託する場合の違いは何ですか?

特定技能1号外国人を受け入れる際、支援を自社で完結させる「自社支援」と、外部の「登録支援機関に委託」する場合の違いを分かりやすく比較表とポイントにまとめました。

【比較表】自社支援 vs 登録支援機関への委託

比較項目自社で支援する場合(自社支援)登録支援機関に全額・一部委託する場合
主な実施主体自社の支援責任者・支援担当者委託を受けた登録支援機関
実績・体制要件厳しい
(過去2年間の外国人受入・管理実績や、専任担当者の選任が必要)
不要(機関側が満たしている)
(自社に実績がなくても受け入れ可能)
母国語対応(通訳)自社で通訳人材を確保・雇用する必要あり登録支援機関の通訳体制を利用可能
初期導入費用自社での体制構築費用・書類準備等の人件費登録支援機関への初期登録・セットアップ費用(※機関による)
ランニングコスト社内人件費のみ(月額の社外支払いはなし)委託支援費用が発生
(外国人1人あたり月額 2万〜3万円程度が相場)
社内業務負担大きい
(生活立ち上げ、相談対応、定期面談、入管報告等の実務・書類作成)
小さい
(面倒な手続きやサポート業務の大半をプロに任せられる)
社内ノウハウ蓄積外国人雇用・支援のノウハウが社内に蓄積される社内にノウハウが溜まりにくい
社内関係構築自社スタッフが直接密に関わるため、信頼関係が深まりやすい第三者が間に入るため、一定の距離感が保てる反面、自社との馴染みに時間がかかることも

どちらを選ぶべき?判断のポイント

自社支援が向いている企業

  • 外国人雇用の実績が豊富(過去に技能実習生や他資格の外国人を受け入れ・管理した経験がある)
  • 社内に通訳・生活サポートができるスタッフがいる(対象外国人の母国語を話せる社員がいる)
  • 月額の委託費用(ランニングコスト)をなるべく抑えたい
  • 長期的に社内へ外国人支援のノウハウを蓄積したい

登録支援機関への委託が向いている企業

  • 初めて特定技能外国人を受け入れる(過去に受入実績やノウハウがない)
  • 社内に通訳ができる人材や、支援に割ける人員・時間がない
  • 複雑な入管手続きや定期報告書類の作成・提出による業務負担を減らしたい
  • 万が一のトラブルや夜間・休日の相談対応を専門家に任せたい

Q7自社支援を行うために受入企業が満たすべき詳細な要件や条件はありますか?

特定技能1号外国人を自社で支援(自社支援)する際に、受入れ機関(特定技能所属機関)が満たすべき詳細な要件と適格性をまとめたチェックリストです。

出入国在留管理庁の基準に基づき、大きく「支援体制の要件」「中立性・欠格事由の要件」「実施すべき支援業務」の3つの視点から整理しています。

1. 支援体制に関する要件(実績・人員)

自社支援を行うためには、原則として過去の実績または同等の体制が必要です。

  • [ ] 以下のいずれかの「支援実績」を満たしているか
    • [ ] 過去2年間に「中長期在留者(就労資格等)」の受け入れ・管理実績がある
    • [ ] 過去2年間に報酬を得る目的で適正に外国人に対する相談業務を行った経験がある
    • [ ] 役員または職員の中に、過去2年間に中長期在留者の支援・管理に従事した経験を持つ者がいる
    • [ ] 上記と同等以上に支援を適正に行うことができると認められる(行政書士等の専門家と支援委託・指導契約を結んでいる等)
  • [ ] 支援責任者・支援担当者を適切に選任しているか
    • [ ] 役員または常勤の職員の中から「支援責任者」を1名以上選任している
    • [ ] 役員または常勤の職員の中から「支援担当者」を1名以上選任している(※責任者と担当者の兼任は可能)
  • [ ] 対象外国人が理解できる言語(母国語等)での手厚い支援体制があるか
    • [ ] 外国人が十分に理解できる言語で、相談対応やガイダンスを行える体制(自社社員の通訳、または外部通訳との契約)が整っている

2. 中立性および欠格事由に関する要件

支援を不当に阻害したり、不利益を与えたりしないための中立性・適格性が求められます。

  • [ ] 支援責任者・担当者の「中立性」が確保されているか
    • [ ] 支援責任者および支援担当者が、対象となる特定技能外国人を直接指揮命令する立場(直属の上司等)ではないこと
    • [ ] 支援責任者および支援担当者が、当該特定技能外国人の違反行為について監督する立場にないこと
  • [ ] 欠格事由(不適格事由)に該当していないか
    • [ ] 過去5年以内に、出入国管理関係法令や労働関係法令に関する重大な違反がないこと
    • [ ] 過去5年以内に、特定技能外国人や技能実習生等の行方不明者(失踪者)を自社の責めで発生させていないこと
    • [ ] 暴力団関係者またはそれらと密接な関係を有する者でないこと
    • [ ] 支援に必要な費用を直接・間接を問わず外国人本人に負担させないこと(※住居費等の実費を除く支援業務費用)

3. 実施すべき10項目の義務的支援(体制確保)

自社支援を行う場合、以下の10項目すべてを漏れなく自社で計画・実施する体制が必要です。

  • [ ] ① 事前ガイダンス:入国前(または在留資格変更前)に労働条件や日本での生活ルールを説明
  • [ ] ② 出入国時の送迎:入国時の空港迎え・出国時の空港送り(保安検査場まで同行)
  • [ ] ③ 住宅確保・生活必要な契約支援:賃貸契約の連帯保証人設定、銀行口座開拓、携帯電話契約等の同行・サポート
  • [ ] ④ 生活オリエンテーション:日本のマナー、交通ルール、防災知識、医療機関の利用法などの案内(1/2以上を対面・対話形式で実施)
  • [ ] ⑤ 公的書類・行政手続きへの同行:住民登録、マイナンバー、税金等の手続き同行・書類作成補助
  • [ ] ⑥ 日本語学習機会の提供:日本語学校の案内、学習教材の提供、日本語講座の開設等
  • [ ] ⑦ 相談・苦情への対応:母国語等による相談窓口の設置および迅速な対応
  • [ ] ⑧ 日本人との交流促進:地域の自治会行事や祭り、イベント等への参加支援・案内
  • [ ] ⑨ 転職支援(非自己都合離職時):会社の都合等で解雇・離職する場合の次の就労先探しのバックアップ
  • [ ] ⑩ 定期的な面談および行政報告:3ヶ月に1回以上の定期面談(外国人本人および上司)の実施と、入館への定期報告書の作成・提出

自社支援をスタートする際のアドバイス

自社支援は「直属の上司が支援責任者になれない」という中立性の要件が実務上のボトルネックになりやすいポイントです。他部署のスタッフや管理部門のメンバーを支援担当者として配置できるか、事前に組織図と社内体制を確認しておくことが成功の鍵となります。

まとめ

特定技能外国人をスムーズかつ適正に受け入れるためには、「登録支援機関へ全面的に委託する」か、「社内体制を整えて自社支援を行う」かの適切な判断が欠かせません。

自社に過去の受け入れ実績や通訳体制があり、月々のランニングコストを抑えたい場合は「自社支援」が強力な選択肢となります。一方で、初めての外国人人材の採用で手続きやサポートの手間を最小限に抑えたい場合は、実績豊富な「登録支援機関」に頼るのが確実です。

自社の人的リソース、過去の実績、受入人数などを総合的に考慮し、自社にとって最適な支援体制を選択・構築していきましょう。

代表行政書士

行政書士新川健人
行政書士新川健人
・日本行政書士会連合(登録番号第25271950号)
・京都府行政書士会(会員番号第3070号)
・申請取次行政書士(第172025200209号)
京都在住。外国人の就労ビザ、配偶者ビザ申請、国際結婚など国際業務を専門。スピード対応が得意。