【2027年】高度専門職ビザの転職完全ガイド!要件・タイミング・企業側の対応を解説

日本で働く優秀な外国人材や、高度な技術・知識を持つ人材を積極的に受け入れるために設けられたのが「高度専門職」ビザです。

従来の「技術・人文知識・国際業務」などの就労ビザと比べて、生活や就労面で数多くの優遇措置が用意されている一方、申請には独自の評価基準(ポイント制)が設けられています。

本記事では、高度専門職ビザの全体像から主なメリット、対象となる区分、申請時の落とし穴までをわかりやすく解説します。

① 高度専門職ビザの3つの区分(1号)

高度専門職1号は、日本で行う活動内容に応じて以下の3つの区分に分かれています。

  • 高度専門職1号(イ):高度学術研究活動 大学教授、研究者など、研究や教育を行う活動。
  • 高度専門職1号(ロ):高度専門・技術活動 ITエンジニア、開発者、各種専門職など、自然科学・人文科学の専門的知識・技術を要する業務。※就労ビザからの変更で最も一般的な区分です。
  • 高度専門職1号(ハ):高度経営・管理活動 企業の経営者、役員、上級管理職など。

② 高度専門職ビザを取得する「7つの主なメリット」

高度専門職を取得すると、出入国在留管理上、次のような手厚い優遇措置を受けられます。

  1. 一律「5年」の在留期間が付与される 初回申請から最長期間である「5年」が付与されるため、在留の安定性が高まります。
  2. 永住許可要件が大幅に緩和される(最大メリット) 通常は10年以上の在留が必要な永住申請ですが、ポイント70点以上で3年、80点以上であればわずか1年の在留で申請対象となります。
  3. 複合的な在留活動が認められる 本業(例:企業でのエンジニア活動)を行いながら、関連する事業を自ら起業・経営すること(副業・起業)が可能です。
  4. 配偶者の就労条件が緩和される 学歴や職歴の要件を満たさなくても、一定の要件のもとでフルタイム就労が可能になります。
  5. 親の帯同が認められる(条件付き) 7歳未満の子どもの養育や妊娠中の介助などを目的として、世帯年収等の条件(世帯年収800万円以上など)を満たせば、本人または配偶者の親を日本に呼び寄せることができます。
  6. 家事使用人の帯同が認められる(条件付き) 世帯年収1,000万円以上などの基準を満たす場合、家事使用人(メイド等)の帯同・雇用が認められます。
  7. 入国・在留手続きの優先処理 審査が優先的に行われ、一般的なビザ申請よりもスピーディーに処理されます(認定:10日以内、変更・更新:5日以内が目安)。

しかし、これはあくまで「すべての書類が完全に揃っており、かつ入管の混雑状況に余裕がある場合の『努力目標』」です。

実際の審査にかかる期間(現実の目安)

昨今、外国人労働者や高度人材の申請件数が急増しているため、優先処理の対象であっても、実際には以下の期間がかかるのが一般的です。

  • 変更申請(転職など): 約2週間 〜 1ヶ月半
  • 認定申請(呼び寄せ): 約3週間 〜 2ヶ月

③ ポイント計算と申請時の注意点

高度専門職ビザの取得には、学歴・職歴・年収・年齢・資格・研究実績などの項目を点数化し、合計70点以上を満たす必要があります。

申請時に気をつけたいポイント

  • 年収要件(最低300万円) (ロ)および(ハ)の区分では、ポイントが合計70点を超えていても、見込み年収が300万円未満の場合は不許可となります。また、評価される年収は「過去の年収」ではなく「今後1年間の見込み年収」です。
  • 転職時の手続きが必要 一般的な「技人国」ビザなどと異なり、高度専門職1号は「所属機関(勤務先)」と紐づいています。そのため、転職した場合は「在留資格変更許可申請」が必要となります。
  • 立証資料の客観性「ポイントが足りている」ことだけでなく、職歴証明書、年収見込証明書、学歴証明書などで客観的に立証できるかが審査の成否を分けます。

まとめ

高度専門職ビザは、キャリア形成や日本での長期滞在、家族の呼び寄せなどを視野に入れる外国人材にとって非常に魅力的な制度です。

一方で、ポイントの立証資料の準備や転職時の注意点など、専門的な知識と綿密な書類準備が不可欠です。自身のポイント計算や必要書類に不安がある場合は、申請前に行政書士へ相談することをおすすめします。

よくある質問

高度専門職ビザの転職やポイント制度に関して、実務上よく寄せられる質問(FAQ)をまとめました。

Q1. 転職の際、前の会社を辞めてから手続きをするのですか?

A. 内定後・入社前(勤務開始前)に手続きを行うのが原則です。

高度専門職1号ビザは「特定の企業」と紐づいているため、許可が出る前に転職先で働き始めると不法就労になってしまいます。

そのため、「内定受諾 → 在留資格変更許可申請(約1〜2ヶ月) → 許可交付 → 新会社に入社」というスケジュールで進めるのが安全です。

Q2. 転職申請中に、前の会社を退職してしまっても大丈夫ですか?

A. 申請中であれば日本に滞在し続けることは可能ですが、無職の期間(空白期間)は極力短くするのが望ましいです。

申請が受理されていれば「特例期間」が適用され、現在のビザ期限が切れても結果が出るまで(または最長2ヶ月)は法的滞在が認められます。ただし、退職後3ヶ月以上次の就労を開始しない状態が続くと審査で確認が入る場合があるため、退職と申請のタイミングを合わせることが重要です。

Q3. 年齢が上がってポイントが減ってしまいました。どうすればいいですか?

A. 他の加点項目(資格・日本語能力・年収アップなど)で補う必要があります。

例えば、29歳(15点)から30歳(10点)になると5点減点されます。

  • 転職先での交渉で年収を上げる(年収ポイントの加算)
  • JLPT N1の取得(15点)や指定のIT資格等の取得(5〜10点)
  • 加点対象(イノベーション促進企業など)の企業を選ぶ

などで合計70点以上をキープできるかを事前に計算しましょう。

Q4. 転職先でポイントが70点に届かなくなったらどうなりますか?

A. 一般の就労ビザ(「技術・人文知識・国際業務」など)へ変更申請を行います。

高度専門職ビザの継続はできませんが、学歴や職歴と業務内容の関連性などの基本要件を満たしていれば、「技人国」などの一般的な就労ビザに変更して日本で働き続けることが可能です(※優遇措置は適用されなくなります)。

Q5. 前の会社での実務経験を証明する「在職証明書」が出してもらえない場合は?

A. 職歴ポイントの立証が困難になるため、事前の対策が必要です。

実務経験(3年・5年・7年など)でポイントを加算する場合、過去の勤務先からの「業務内容と在職期間が明記された証明書」が必須です。もし前職からの取得が難しい場合は、雇用契約書や退職証明書、源泉徴収票など代替書類で立証できるか個別に確認する必要があります。

Q6. 「高度専門職2号」を持っている場合も、転職時に変更申請が必要ですか?

A. いいえ、在留資格変更許可申請は不要です。

高度専門職2号は活動機関(勤務先)が指定されないため、転職してもビザ自体の変更手続きは不要です。ただし、「退職・入社から14日以内の届出(所属機関に関する届出)」は必要となります。

Q7.転職の場合の要件について教えてください

高度専門職ビザ(特に「高度専門職1号」)を所有している方が転職する場合、通常の就労ビザ(「技術・人文知識・国際業務」など)とは異なり、手続きや審査の要件が大幅に厳しくなります。

転職時の主な要件と注意点について整理して解説します。

1. なぜ転職時に特別な手続き・審査が必要なのか?

高度専門職1号のビザ(在留資格)は、「申請者本人の能力(ポイント)」と「受入れ企業(指定機関)」がセットで審査され、パスポートに貼られる「指定書」に勤務先名称が指定されています。

そのため、転職して勤務先が変わると、パスポート上の指定機関を変更するための手続き(在留資格変更許可申請)を行う必要があります。

2. 転職時に満たすべき主な審査要件

新しい勤務先で高度専門職1号ビザを引き続き取得・維持するためには、以下の要件をクリアする必要があります。

① ポイント計算で「70点以上」を維持すること

  • 転職先の労働条件(予定年収、職務内容、役職など)をもとに再度ポイントを計算し、合計70点以上を満たさなければなりません。
  • 年収に注意: 前職より給与が下がる場合や、年齢が上がったことで年齢ポイントの加算が減る場合などに、70点を下回ってしまうケースがあります。

② 年収要件(見込み年収300万円以上)

  • 高度専門職1号(ロ:技術・専門)および(ハ:経営・管理)の場合、ポイントの合計に関わらず、転職先での年間見込み報酬が300万円以上である必要があります。

③ 転職先企業の安定性・継続性

  • 転職先の企業が十分な経営基盤を持っており、契約した給与・待遇を安定して支払える実績や体制(受入れ体制)があるかが審査されます。
  • スタートアップや新設企業への転職の場合は、事業計画書や決算書などでの立証が求められます。

④ 業務内容の専門性

  • 転職先で行う業務が、高度専門職の該当性(学術研究、高度専門・技術、経営・管理)を満たしていることが前提となります。

3. 必要な手続きと流れ

高度専門職1号の方が転職する場合、以下の2つの手続きが必要です。

  1. 在留資格変更許可申請(必須・事前手続き)
    • タイミング: 転職先で勤務を開始する前(原則、内定後~入社前)。
    • 内容: 新しい勤務先での職務・年収に基づいたポイント計算表および証明資料、企業の決算書・法定調書合計表などを入管へ提出します。
    • 注意: 許可が出る前に新しい会社で就労を開始することはできません(不法就労となるリスクがあります)。
  2. 所属機関に関する届出(14日以内)
    • 前職を退職した日、および新会社に入社した日からそれぞれ14日以内に出入国在留管理庁へ届出を行う必要があります。

4. 万が一70点に届かない場合や「高度専門職2号」の場合

  • 70点に届かなくなった場合:転職先の条件で70点以上を維持できない場合は、高度専門職ではなく、一般の就労ビザ(「技術・人文知識・国際業務」や「経営・管理」など)への在留資格変更許可申請を行うことになります。
  • 「高度専門職2号」をお持ちの場合: 高度専門職2号は特定の勤務先に縛られないため、転職時の「在留資格変更許可申請」は不要です。ただし、退職・入社時の「所属機関に関する届出」は同様に必要となります。

【まとめ】高度専門職ビザの転職は「事前の要件確認」が成否を分ける

高度専門職1号ビザは、本人と勤務先企業がセットで審査されている特殊なビザです。そのため、転職時には「事前のビザ変更申請」と「転職先でのポイント70点以上の立証」というハードルが存在します。

「転職後にポイントが足りないことが発覚した」「許可前に働き始めてしまいコンプライアンス違反になった」といったトラブルを防ぐためにも、内定段階で「ポイントの再計算」と「提出書類の精査」を確実に行うことが極めて重要です。

ススケジュール調整や必要書類の収集、ポイント計算の立証に不安がある場合は、申請手続きに詳しい行政書士などの専門家へ早めに相談することをおすすめします。

代表行政書士

行政書士新川健人
行政書士新川健人
・日本行政書士会連合(登録番号第25271950号)
・京都府行政書士会(会員番号第3070号)
・申請取次行政書士(第172025200209号)
京都在住。外国人の就労ビザ、配偶者ビザ申請、国際結婚など国際業務を専門。スピード対応が得意。