技能実習生から特定技能1号への移行完全ガイド|費用・手順・よくある質問

受け入れている外国人技能実習生が「技能実習2号(または3号)」を良好に修了する場合、「特定技能1号」へ移行することで、そのまま自社で長期雇用(最長5年間)を継続できます。

新規で海外から人材を呼び寄せる場合と比較して、採用コストや手続きの手間を大幅に削減できる点が大きなメリットです。

1. 移行にかかる費用相場

自社で受け入れている技能実習生を特定技能1号へ移行させる場合、渡航費や入国直後講習費がかからないため、初期費用を非常に低く抑えられます。

費用項目概ねの費用相場概要・補足
在留資格変更許可印紙代6,000円(オンライン 5,500円)出入国在留管理局へ支払う法定手数料
申請代行費用(行政書士等)5万〜15万円書類作成や提出手続きを外部委託する場合
初期支援セットアップ費5万〜10万円登録支援機関へ支援を委託する場合の初期登録料
事前健康診断費5,000〜1万円申請に必要な健康診断の受診料
【初期費用合計目安】約10万〜20万円自社申請・自社支援の場合は数万円(印紙代+健診代)のみ

月額費用の変化

  • 技能実習時:監理団体への月額監理費(約3.5万〜6万円/月)が発生。
  • 特定技能移行後:監理費は発生しません。登録支援機関へ支援を委託する場合は月額2万〜4万円/月が発生します(※社内に自社支援体制を組む場合は0円)。

2. スムーズな移行までの5ステップ

実習満了の約3〜4ヶ月前から準備を開始するのが一般的です。

1.修了要件の確認と条件決定:実習満了の3〜4ヶ月前。

  • 技能実習2号(または3号)を「良好に修了(2年10ヶ月以上履修)」しているか確認します。
  • 「技能実習生に関する評価調書」などを準備します(※技能・日本語試験免除の適用条件となります)。
  • 日本人社員と同等以上の報酬額や各種条件を定めた雇用契約書を作成します。

2.支援計画の策定:支援体制の選択。

  • 支援業務(生活オリエンテーション、住宅確保、相談対応等)を自社で行うか、登録支援機関へ委託するかを決定します。
  • 受入れ企業側で「特定技能1号外人支援計画書」を作成します。

3.契約締結と事前手続き:実習満了の2〜3ヶ月前。

  • 実習生本人の事前健康診断を受診させます。
  • 本人への事前ガイダンスを実施し、雇用契約を締結します。
  • 建設分野など特定の業界団体(JAC等)への加入が必要な場合は受入計画の受託申請を行います。

4.出入国在留管理局へ「在留資格変更許可申請」:実習満了の1〜2ヶ月前。

  • 管轄の入管へ在留資格変更(技能実習 → 特定技能1号)の申請を行います。
  • 審査期間(通常1〜2ヶ月前後)を見込んで早めに提出します。

5.特定技能としての雇用・就労開始:許可受領。

  • 変更許可通知届領後、収入印紙を納付して新しい在留カードを受領します。
  • 特定技能外国人としての就労がスタートします。

3. 移行に関するよくある質問(FAQ)

Q. 技能試験や日本語試験は受検させる必要がありますか?

A. 原則、試験はすべて免除されます。

技能実習2号を「良好に修了」した実習生であれば、実習時代の職種・作業と特定技能の業務区分が一致している場合、技能試験および日本語試験(JLPT N4等)の両方が免除されます。

Q. 技能実習時の職種・作業と違う分野へ移行させることはできますか?

A. 可能です。ただし、移行先の「技能評価試験」の合格が必要です。

例えば「食品製造業」から「外食業」や「介護」など、異なる分野へ変更する場合は日本語試験は免除されますが、移行先分野の技能試験に合格する必要があります。

Q. 移行前に一時帰国させる必要はありますか?

A. 帰国させずに、日本に滞在したまま移行可能です。

在留資格変更手続きを行うため、一時帰国の義務はありません。ただし、本人が希望する場合や会社との合意に基づき、移行のタイミングで一時帰国休暇を付与するケースは多く見られます。

Q. 申請手続き中に実習期間が終了してしまう場合はどうなりますか?

A. 「特定活動(移行準備)」などの特例措置を利用できます。

入管の審査遅れ等により、技能実習の満了日までに特定技能への変更許可が下りない場合、一時的に「特定活動(就労可・最長4ヶ月)」へ変更申請することで、途切れなく働きながら結果を待つことが可能です。

Q.技能実習から特定技能1号への移行申請に必要な提出書類の一覧と注意点を教えてください。

技能実習生を「特定技能1号」へ移行させる際の在留資格変更許可申請では、①申請人(本人)②受入れ企業(特定技能所属機関)、③分野固有(業界別)の3カテゴリーの書類を用意する必要があります。

提出書類の構成と、手続き時に見落としやすい注意点をまとめて解説します。

1. 提出書類一覧

① 外国人本人に関する書類

  • 在留資格変更許可申請書(出入国在留管理庁の指定様式)
  • 顔写真(縦4cm×横3cm / 申請前3ヶ月以内に撮影)
  • パスポート及び在留カードの写し
  • 技能実習2号(または3号)の良好修了を証明する書類
    • 技能実習修了証明書 または 実習生に関する「評価調書」など(※これにより試験が免除されます)
  • 健康診断個人票(受入企業指定の医療機関で受診)
  • 税金・社会保険の納付状況を証明する書類
    • 住民税の課税・納税証明書(直近1年分)
    • 所得税の源泉徴収票
    • 社会保険(健康保険・厚生年金等)の納付証明資料

② 受入れ企業(受入機関)に関する書類

  • 特定技能雇用契約書・雇用条件書の写し
  • 特定技能外国人の報酬に関する説明書
  • 1号特定技能外国人支援計画書
    • 登録支援機関へ委託する場合は支援委託契約書の写し
  • 会社の法人の登記事項証明書(発行から3ヶ月以内)
  • 直近年度の決算書(貸借対照表・損益計算書)
  • 公的義務(税金・社会保険・労働保険)の履行証明書
    • 法人税・消費税等の納税証明書
    • 法人住民税の納税証明書
    • 労働保険料納付証明書 / 社会保険料納入状況回答票

③ 分野(業界)ごとに必要な追加書類

分野固有の協議会への加入手続きや認定証明等が必要です。

2. 申請時の重要注意点(不許可・遅延を防ぐポイント)

  • 未納・滞納の厳しくチェックされる公的義務本人および受入れ企業双方の「税金(住民税・法人税等)」「社会保険料」「労働保険料」の納付状況は非常に厳格に審査されます。未納や納付遅延がある場合は、申請前に解消しておく必要があります。
  • 申請タイミングと「特定活動」の活用在留資格変更申請は審査に1〜2ヶ月ほどかかります。技能実習の満了日までに許可が下りない可能性がある場合、在留期間切れを防ぐため「特定活動(移行準備)」の資格へ一時的に変更し、就労を継続させながら審査結果を待つ措置をとります。
  • 「評価調書」の取得手配はお早めに試験免除を受けるために必要な「評価調書」は、旧監理団体や実習実施者から取得する必要があります。退職トラブル等があると発行に時間がかかる場合があるため、移行決定後すぐに請求・準備を進めてください。
  • 職種と業務区分の一致技能実習時の作業と特定技能での業務区分が合致していない場合、試験免除が適用されず「技能評価試験」の受検・合格が必要になります。事前に分野別の要領で一致状況を確認してください。

まとめ:事前のスケジュール管理と書類準備でスムーズな移行を

技能実習2号・3号を良好に修了した実習生は、試験免除・渡航費不要で特定技能1号へ移行できるため、企業にとってコスト面・即戦力確保の面で大きなメリットがあります。

移行を成功させるための重要ポイントは以下の3点です。

  • スケジュール管理:在留期間満了の3〜4ヶ月前から準備をはじめ、申請遅延を防ぐ。
  • 書類と公的義務:評価調書の早めの手配と、税金・社会保険などの未納・遅延がないか事前に確認する。
  • 支援体制の選択:登録支援機関への委託だけでなく、要件を満たせば「自社支援」で月額コスト(0円)を抑える選択肢も検討する。

制度の仕組みと必要な手続きをしっかり把握し、大切な人材の長期的な就労・活躍につなげましょう。

代表行政書士

行政書士新川健人
行政書士新川健人
・日本行政書士会連合(登録番号第25271950号)
・京都府行政書士会(会員番号第3070号)
・申請取次行政書士(第172025200209号)
京都在住。外国人の就労ビザ、配偶者ビザ申請、国際結婚など国際業務を専門。スピード対応が得意。