【2027年最新】経営管理ビザの更新申請|赤字・債務超過の対応と事業計画書の作成ガイド

2025年10月16日、在留資格「経営・管理(経営管理ビザ)」の基準を引き上げる法改正が施行されました。従来「資本金500万円以上」だった事業規模要件が「資本金等の額3,000万円以上」かつ「常勤職員1名以上の雇用」へと大幅に厳格化されたことで、既存ビザ保持者やこれから更新を迎える経営者の方々の間でも大きな波紋が広がっています。

更新申請の最新ルールと、経過措置期間中に押さえるべき重要ポイントを解説します。

主な変更点(改正前と改正後の比較)

今回の改正では、これまでの「資本金500万円または常勤雇用2名以上」という選択的要件から、両方を満たす複合要件へと転換されました。

項目改正前(〜2025年10月15日)改正後(2025年10月16日〜)
事業規模(資本金等)500万円以上3,000万円以上(6倍に引き上げ)
常勤職員の雇用資本金条件を満たせば不要1名以上が必須(日本人・永住者等)
日本語能力基準明確な指定なしJLPT N2以上などの基準追加
事業所の独立性実態確認あり自宅兼事業所は原則不可を明示

※資本金3,000万円は登記上の資本金(出資総額)などで判断され、借入金(融資)や経費の単純合算で満たすことは認められません。

更新申請における「経過措置」

すでに「経営・管理」のビザを取得して日本で事業を行っている方のために、出入国在留管理庁では3年間の経過措置を設けています。

経過措置のタイムライン

  1. 2025年10月15日までに受け付けられた申請
    • 旧基準(資本金500万円等)で審査。
  2. 2025年10月16日〜2028年10月16日までの更新申請
    • 新基準(3,000万円・常勤1名)を満たしていないことのみで直ちに不許可とされることはありません。
    • 直近の経営状況や、将来的に新基準に適合する見込みがあるかどうかが総合的に審査されます。
  3. 2028年10月17日以降の更新申請
    • 原則として新基準(資本金3,000万円・常勤1名)への適合が必要となります。

注意ポイント:

経過措置期間中(〜2028年10月16日)であっても、無条件で自動更新されるわけではありません。決算状況の悪化や税金・社会保険の滞納、実態のある事業計画が示せない場合は、不許可となるリスクがあります。

最新の審査傾向と更新申請の準備事項

審査期間は申請から処分まで平均44〜54日程度とされています(在留期限の約3か月前から申請可能)。法改正に伴い、更新申請時の提出書類や確認項目も厳格化しています。

1. 資金調達・増資計画の立案

自社利益からの積み上げ、既存役員借入金の資本金化(DES:デット・エクイティ・スワップ)、新規投資家の出資受入れなどを活用し、2028年までの増資ロードマップを策定する必要があります。

2. 常勤職員の早期確保と社会保険加入

日本人、特別永住者、永住者、定住者、日本人の配偶者などの「在留資格に制限がない人材」を週30時間以上の常勤で雇用し、雇用保険・社会保険に適正に加入させることが求められます。

3. 税務・社会保険のコンプライアンス(滞納ゼロ)

法人税・消費税の確定申告および適切な納付、社会保険料の納付状況は、更新審査で厳しくチェックされます。未申告や滞納がある場合は致命的な不許可事由となります。

4. 事業計画書・専門家評価書の準備

中小企業診断士等による「事業計画の実現可能性」に関する専門家評価書の添付が推奨・求められる場面が増えています。

新基準の維持が難しい場合の代替案

もし2028年までに資本金3,000万円や常勤雇用の達成が難しいと判断される場合は、手遅れになる前に他の在留資格への変更を検討することも現実的な選択肢です。

  • 特定技能・技術・人文知識・国際業務ビザへの変更: 他社に雇用される形へ移行する。
  • 高度専門職ビザ: ポイント計算を満たす場合、経営者としての別のアプローチを模索する。

よくある質問

経営管理ビザ(在留資格「経営・管理」)の更新および最新の制度改定に関して、実務や相談の現場でよく寄せられる質問とその回答をまとめました。

FAQ:制度改定と経過措置について

Q1. 2025年10月の改正前にビザを取得したのですが、次の更新ですぐに資本金3,000万円が必要になりますか?

A. 直ちに必要になるわけではありません。 すでにビザを取得している方向けに、2028年10月16日までの3年間の経過措置が設けられています。この期間中の更新申請では、新基準(資本金3,000万円・常勤職員1名以上)を満たしていなくても直ちに不許可とされることはありません。ただし、2028年10月までに新基準を達成するための段階的なロードマップ(事業計画書)の提示が求められます。

FAQ:事業計画書・審査基準について

Q2. 公式サイトの必要書類一覧に「事業計画書」が載っていませんが、本当に提出が必要ですか?

A. 赤字・債務超過がある場合や、経過措置期間中に新要件へ移行中の場合は実質的に必須です。 公式の提出書類(決算書等)は最低限の法定書類です。赤字や債務超過がある場合、決算書だけでは「事業の継続性」が疑われて不許可となるリスクが高くなります。そのため、任意立証資料として黒字化計画や新要件達成のロードマップを記した事業計画書を添えて申請するのが実務上の標準となっています。

Q3. 直近の決算が赤字または債務超過ですが、更新は可能ですか?

A. 適切な改善計画と裏付け資料(エビデンス)があれば更新可能です。 単年度の赤字であれば、一時的な要因の分析と翌期以降の黒字化計画を示すことで対応できます。2期連続赤字や債務超過の場合は、経営者個人の役員借入金を資本金に振替(DES)するなどの財務改善措置に加え、中小企業診断士等による「専門家評価書(意見書)」を添付して事業の実現性を証明することが強く推奨されます。

FAQ:新基準(資本金・雇用)の達成手法について

Q4. 資本金3,000万円の条件を達成するために、役員借入金を活用(DES)することは可能ですか?

A. 可能です。実務上も非常に有効な手法です。 代表者個人が会社にお金を貸している「役員借入金」がある場合、それを株式に振り替える「DES(デット・エクイティ・スワップ)」を実施することで、現金を出資することなく債務超過を解消し、同時に資本金を増額できます。

Q5. 新基準で求められる「常勤職員1名」にはアルバイトや留学生も含まれますか?

A. アルバイトや留学生は含まれません。 ここでの常勤職員とは、日本人、特別永住者、永住者、定住者、日本人の配偶者等といった「在留資格に制限がない人材」を週30時間以上の常勤(雇用保険・社会保険加入対象)で直接雇用している必要があります。

Q6.経過措置期間中に経営管理ビザを更新する際、事業計画書にはどのような内容を記載すべきですか?

経過措置期間(〜2028年10月16日)中の「経営・管理」ビザの更新申請では、単に過去の業績を報告するだけでなく、「2028年10月の猶予期限までに、新基準(資本金3,000万円以上・常勤職員1名以上)を達成するための具体的かつ実現可能なロードマップ」を事業計画書で示すことが最重要となります。

経過措置期間中の更新で審査官が重視するポイントと、事業計画書に盛り込むべき必須項目について詳しく解説します。

事業計画書に記載すべき5つの重要項目

1. 新基準(資本金300万円増資・常勤1名雇用)の達成ロードマップ

最も重要なセクションです。「最終的にどうやって3,000万円の資本金と常勤1名の雇用を準備するのか」を年単位(段階的)で記載します。

  • 資本金の増資計画(例):
    • 利益剰余金の積立による増資
    • 役員借入金の自己資本化(DES:デット・エクイティ・スワップ)
    • エンジェル投資家やVC、事業会社からの第三者割当増資
    • 年次ごとの自己資金投入スケジュールの明確化
  • 人員計画(例):
    • いつ、どのような職種で常勤職員(日本人・永住者等)を1名雇用するかのスケジュール
    • 人件費の算出背景および社会保険・労働保険の加入計画

2. 直近の財務分析と改善策(赤字・債務超過対策)

過去1〜3期の決算内容を踏まえ、自社の強みと課題、それを克服する施策を論理的に説明します。

  • 直近決算が赤字または債務超過の場合:
    • 赤字要因の分析(一時期な初期投資、原材料高騰など)
    • 黒字化・債務超過解消に向けた具体的施策(単価の見直し、経費削減、新規顧客獲得策など)
    • 中小企業診断士や公認会計士・税理士による「改善見込みに関する所見書」等の添付があると評価が高まります。

3. 今後の売上・収益計画(3年間分)

経過措置終了までの今後3年間の売上高・原価・販管費・営業利益の推移を数値で提示します。

  • 単なる「楽観的な目標数値」ではなく、受発注の契約書、見積書、業務提携契約、見込み顧客のリストなど裏付け根拠(エビデンス)を必ず添付します。
  • 売上構造(単価 × 単価数 / クライアント数)をブレイクダウンしてロジカルに記載します。

4. 事業運営の継続性と実態(業務プロセスの可視化)

経営者自身が実質的にどのような経営指導・管理業務を行っているのか、そして事業が日本国内で安定して運用されているかを具体的に明記します。

  • 主要取引先の一覧と取引頻度・契約形態
  • 役員報酬の適正性(経営者が安定して日本で生活できる十分な金額が確保されているか)
  • 事業所の契約実態(自宅兼事務所ではなく、独立したオフィス空間が確保されているか)

5. コンプライアンス・納税・社会保険の遵守手続

  • 法人税・消費税・住民税・社会保険料を期限内に完納している旨(および未納・遅延がある場合の是正報告書)
  • 労働関係法令の遵守体制

審査通過率を高めるための添付書類・アドバイス

項目ポイント
各種見込み資料新規取引先との業務提携書、発注内諾書、売買契約書などを添えることで事業計画の現実味が増します。
専門家(中小企業診断士等)の意見書単に経営者が作成した計画書よりも、第三者のプロによる「事業実現性評価」を添付する方が信頼性が格段に高まります。
定量的・段階的なアピール「初年度に1,000万円増資、2年目に2,000万円増資、3年目に雇用創出」など、期限直前に駆け込みで行うのではなく準備を段階的に進めている姿勢を見せることが肝心です。

Q7.経営管理ビザ更新で有効な「事業計画書」および「専門家評価書」の記載例や要件について詳しく教えてください。

経過措置期間中(〜2028年10月16日)の「経営・管理」ビザ更新申請において、入国管理局の審査をクリアするために極めて重要な役割を果たすのが「事業計画書」と、中小企業診断士や公認会計士等の第三者が作成する「専門家評価書(事業実現性評価書)」です。

実務でそのまま活用できる記載構成、必須要件、および具体的な記載例を詳しく解説します。

1. 事業計画書の必須要件と記載例

経過措置期間中の事業計画書では、単なる売上目標ではなく「2028年10月までの新要件(資本金3,000万円・常勤職員1名)の段階的達成ロードマップ」を論理的かつ数値データに基づいて証明する必要があります。

主な記載項目と具体的な記述例

① 会社概要および経営者の役割

  • 要件: 経営者本人が実質的に経営・管理業務に従事している実態を示す。
  • 記載例:「当社は京都市内を中心にインバウンド向け日本酒体験イベントおよびEC販売事業を展開している。代表取締役である〇〇は、事業全体の経営戦略策定、海外パートナー企業との業務提携交渉、および財務・人事管理を統括しており、日本国内における事業運営の実質的な意思決定を担っている。」

② 新基準(3,000万円増資・常勤1名雇用)の年次達成スケジュール

  • 要件: 2028年10月までの3年間に、いつ・どのような手法で資金を調達し、人材を確保するのかを可視化する。
  • 記載例(表形式のスケジュール併記が有効):
    • 2026年度(初年度): 現状の資本金500万円から、役員借入金1,000万円を株式化(DES)し、資本金を1,500万円に増資。
    • 2027年度(2年目): 日本人または永住者の常勤職員1名を広報・マーケティング担当として雇用(月額給与25万円、社会保険加入)。事業利益および第三者割当増資(ベンチャーキャピタル等)により資本金2,300万円へ。
    • 2028年度(3年目・期限前): 蓄積された利益剰余金の組み入れにより、資本金3,000万円を達成。常勤雇用を継続・定着させる。

③ 今後の3期分損益計画および収益根拠

  • 要件: 楽観的な数字ではなく、既存取引や見込み案件(契約書・発注書等の根拠資料)に裏付けられた収益予測を示す。
  • 記載例:「2026期の売上目標高は3,600万円(月平均300万円)とする。これは、既に締結済みの〇〇商事との年間コンサルティング契約(月額100万円・添付資料資料3)および直近6か月のEC売上実績(月平均200万円)に基づき算定した極めて現実的な試算である。販管費には常勤職員1名分の人件費(年間360万円)および法定福利費を含めて算出しており、営業利益ベースで黒字(300万円)を維持する。」

④ 直近決算が赤字・債務超過の場合の改善計画

  • 要件: 一時的な赤字である理由と、それをどのようにリカバリーするかを具体的に説明する。
  • 記載例:「前期(2025期)において200万円の営業損失が発生した要因は、新ECサイト構築に伴う初期システム開発費用(300万円)の一括計上によるものである。本開発は一律完了しており、今期以降の固定費用増にはつながらない。今期はサイト公開に伴い粗利率が前年比15%向上する見込みであり、第1四半期の売上進捗率(28%)からも計画通りのV字回復を見込んでいる。」

2. 専門家評価書(事業実現性評価書)の要件と記載例

専門家評価書とは、中小企業診断士、公認会計士、税理士、行政書士などの有資格者(特に事業評価の知見を持つプロフェッショナル)が、客観的な視点で「この事業計画は実現可能である」と評価・証明する書類です。

入国管理局は、申請者本人が作った計画書よりも「第三者の専門家による定量的・定性的な評価」を高く評価する傾向にあります。

専門家評価書の基本構成と記載要件

  1. 評価者の属性・資格証明: 中小企業診断士等の登録番号や肩書。
  2. 評価対象資料: 審査に使用した決算書、試算表、事業計画書、取引契約書などの一覧。
  3. 事業内容および市場環境の分析(SWOT分析等): 競合優位性や市場性の客観的評価。
  4. 財務・実現性の総合評価: 計画通りの売上・資金調達・雇用達成が可能であるかの結論。

専門家評価書の具体的な記述例

【定性評価(事業性と経営能力)の記載例】

「対象会社の代表者〇〇氏は、母国において〇〇業界で5年間の実務経験を有しており、業界におけるネットワークおよびマーケティングノウハウを十分に備えている。対象会社が掲げる〇〇事業は、近年の国内需要(インバウンド回復)に適合しており、主要取引先との継続的契約関係が確認できることから、事業の持続性および成長性は極めて高いと評価できる。」

【定量評価(3,000万円増資・雇用計画の妥当性)の記載例】

「対象会社が提示する2028年10月までの『資本金3,000万円達成計画』について検証を行った。対象会社には現在、代表者からの役員借入金が1,200万円計上されており、これをDES(デット・エクイティ・スワップ)により資本組み入れを行う手法は法的・会計的に妥当であり、確実性が高い。残額の800万円についても、直近の売上成長率(前年比120%)および営業キャッシュフローの推移から、期間内の利益剰余金積立によって十分達成可能であると判断する。 また、常勤職員1名の雇用計画についても、売上拡大に伴うオペレーション確保の観点から必然性があり、人件費計上後も適切な営業利益が残る収益構造となっている。」

【総合結論の記載例】

「以上の通り、提出された事業計画は現実的なデータと客観的な取引実績に基づいて策定されており、記載された資金計画および雇用計画の実現可能性は高いと判断する。したがって、経過措置期間内における事業の継続性および新基準適合へのロードマップは十分に合理性を有するものと結論付ける。」

3. 申請時に併せて提出すべき実証資料(エビデンス)

事業計画書および専門家評価書に記載した内容の「裏付け」として、以下の資料を添付することで許可率が大幅に向上します。

計画書の記載内容必要な添付資料(エビデンス)
売上計画主要取引先との業務委託契約書、発注書、継続的な振込が確認できる口座通帳のコピー
資金調達(DES)金銭消費貸付契約書、勘定科目内訳明細書(役員借入金の確認)
資金調達(出資)投資家との出資内諾書、投資意向表明書(LOI)、投資家の資金証明
常勤雇用求人票の控え、採用内定通知書、雇用契約書案、雇用保険・社会保険の加入手続書類
事務所実態賃貸借契約書(事業用目的)、オフィス内観・外観写真、間取り図

Q8.赤字や債務超過の企業が経営管理ビザ更新を通過するための事業計画書作成ポイントを詳しく教えてください。

赤字や債務超過(資産より負債が多い状態)の企業であっても、「適切な改善計画と客観的な裏付け資料(エビデンス)」が整っていれば、経営・管理ビザ(在留資格「経営・管理」)の更新許可を受けることは十分に可能です。

出入国在留管理庁(入管)の審査基準および経過措置(〜2028年10月16日)を踏まえ、赤字・債務超過企業がビザ更新を突破するための事業計画書作成の最重要ポイントと構成例を詳しく解説します。

1. 入管が審査で重視する評価基準(赤字・債務超過の扱い)

入管の審査では、企業の財務状況に応じて以下のように要求される説明のレベルが変わります。

財務状態入管の審査基準と求められる対応
単年度赤字(債務超過なし)赤字の理由が一時的であり、翌期以降に黒字化する見通し(事業継続性)を示す事業計画書を提出すれば許可される可能性が高い。
2期連続赤字 / 債務超過事業の継続性に重大な懸念があると判定される。中小企業診断士・公認会計士等の専門家評価書(意見書)および強固な黒字化・債務超過解消計画書の添付が実質的に必須。
2期連続の債務超過極めて厳しい審査となる。自己資金の投入、債務の株式化(DES)、資本金の増資等の「抜本的な財務改善手続」を完了(または着手)させた上で申請する必要がある。

2. 事業計画書に盛り込むべき5つの最重要ポイント

赤字・債務超過企業が提出する事業計画書では、次の5項目を論理的かつ具体的に記載します。

① 赤字・債務超過に至った「明確かつ客観的な要因分析」

「売上が下がったから」といった抽象的な説明ではなく、決算書の数値をベースに原因を分析します。

  • 外部要因: 原材料高騰、為替の急変動、主要顧客の急な事業縮小など
  • 内部要因(前向きな投資要因): 新規事業・ECサイト開発費、店舗改装費、広告宣伝費の先行投資による一時的赤字など
  • 記載の工夫: 一時的な「投資」による赤字や、すでに解消された「一発性の要因」であることを強調すると評価が高まります。

② 具体的なコスト削減策と売上増加施策(アクションプラン)

単なる精神論(「努力して売上を増やす」等)は一切通用しません。誰が・いつ・何を改善するのかを可視化します。

  • コスト削減(即効性のある施策):
    • 役員報酬の自主返納・減額(経営者自身の生活が維持できる範囲)
    • 不採算事業の撤退、賃料や広告費など固定費の見直し
  • 売上増強(根拠のある施策):
    • 既存客へのアップセル、販路開拓の具体的手法
    • 単価見直しや粗利益率の改善計画

③ 今後3期分の月次損益・資金繰り計画(黒字化ロードマップ)

今後3年間で「いつ赤字を解消し、いつ債務超過を脱出するのか」を月次単位の数値(損益計算書・キャッシュフロー計算書)で提示します。

  • 受発注契約書、発注内諾書、見込み客リストなどのバックデータ(エビデンス)と数値を完全に合致させます。
  • 経過措置期間中(〜2028年10月)の更新であれば、新基準(資本金3,000万円・常勤職員1名雇用)をどのようなスケジュールで達成するかもこの資金計画に組み込みます。

④ 経営者個人の資金投入・債務処理計画(DESや増資)

債務超過の場合、代表者個人から会社への貸付金(役員借入金)が原因となっているケースが多く見られます。

  • 役員借入金のDES(デット・エクイティ・スワップ): 役員借入金を資本金に振り替えることで、一瞬で債務超過を解消し、同時に資本金を増額することができます。
  • 役員借入金の債権放棄: 経営者個人が会社に対する債権を放棄し、特別利益(債務免除益)を計上して純資産をプラスにする手法(繰越欠損金と相殺できる場合に効果的)。

⑤ 専門家(中小企業診断士・公認会計士等)の「事業実現性評価書」の添附

経営者本人が作成した計画書だけでなく、第三者の専門家が「この計画通りに進めれば黒字化および債務超過解消は十分可能である」と判断した専門家評価書(意見書)を添付することで、申請の信頼性が劇的に高まります。

3. 実務で使える改善計画書の文章構成例(テンプレート)

【事業改善および債務超過解消計画書】

1. 財務状況の現状および赤字発生要因
当社第○期(202X年度)において、〇〇万円の営業損失および〇〇万円の債務超過を計上いたしました。
主たる要因は、新規事業(〇〇ECサイト構築および初期マーケティング)に伴う一括費用発生(〇〇万円)によるものであり、一律の初期投資が完了したため、翌期以降の追加発生はありません。

2. 黒字化に向けた具体策(アクションプラン)
(1)粗利益率の改善:主要商品の調達ルート見直しにより、売上原価率を〇%から〇%へ低減(別添:仕入先との覚書)。
(2)固定費の削減:代表取締役の役員報酬を月額〇万円から〇万円へ改定し、年間〇万円のコストカットを実施。
(3)新規顧客の獲得:2026年〇月より業務提携先(〇〇株式会社)経由での案件受注が確定しており、年間〇万円の増収が見込まれる(別添:業務提携契約書)。

3. 債務超過の解消計画(財務体質改善)
当社に対する代表取締役〇〇の役員借入金(〇〇万円)について、202X年〇月〇日付で「デット・エクイティ・スワップ(DES)」を実施し、資本金へと振替手続を行いました。これにより、債務超過は即座に解消され、純資産額はプラス〇〇万円となっております(別添:増資後の履歴事項全部証明書および貸借対照表)。

4. 2028年10月新基準(資本金3,000万円・常勤1名)への適合ロードマップ
・2026期:役員借入金のDES(上記)により資本金を〇万円へ増額。
・2027期:新規受注に伴い、日本人(または永住者)の常勤スタッフ1名をカスタマーサポートとして雇用。
・2028期:事業利益の積み上げにより資本金3,000万円を達成。

5. 結語
以上の施策により、今期(202X期)の営業利益〇〇万円(黒字化)および債務超過の全額解消を確実なものとし、事業の継続性および持続的な成長を実現いたします。

4. 併せて提出すべき「裏付け資料(エビデンス)」一覧

事業計画書の信頼性を担保するために、以下のエビデンスを必ず添えて申請します。

  • 売上・受注の証拠: 業務委託契約書、注文書、発注内諾書、見込み客との打ち合わせメールや見積書
  • 財務改善の証拠: DES(役員借入金の株式化)後の登記簿謄本、金銭消費貸付契約書、債務免除通知書
  • 資金繰りの証拠: 銀行口座通帳のコピー(現在および直近の資金残高証明)
  • 専門家の立証: 中小企業診断士・公認会計士・税理士による「事業実現性に関する意見書・評価書」

Q.9事業計画書は必ず必要ですか?

なぜ公式に載っていない「事業計画書」が必要になるのか?

「事業計画書」や「専門家評価書」は、すべての更新申請者に一律で義務付けられている法定必須書類ではなく、特定の状況において「事業の継続性」や「新要件達成の合理性」を立証するために提出する「任意(追加)立証資料」という位置づけになります。

入管法上、更新許可の審査では「事業が安定かつ継続的に行われているか(事業の継続性)」が厳しく判断されます。そのため、以下のようなケースでは、公式の基本書類(決算書等)だけを提出しても不許可リスクが非常に高くなります。

1. 直近の決算が赤字・債務超過の場合

決算書(損益計算書・貸借対照表)を出しただけでは、入管側に「事業の継続性に疑義がある」と判断されます。そのため、「なぜ赤字になったのか」「どうやって黒字化・債務超過解消するのか」を証明する事業計画書(改善計画)を自主的に添えて説明しなければ許可が出ません。

2. 経過措置期間中(〜2028年10月)に新基準未達成で更新する場合

経過措置期間中は、資本金3,000万円や常勤1名が未達成でも即不許可にはなりませんが、審査官は「2028年10月までに本当に新基準を達成できる見込みがあるのか」を確認します。これを説明する唯一の手段が「2028年までの達成ロードマップを記した事業計画書」となります。

3. 「活動内容を具体的に説明する文書」の補強として

公式の必要書類一覧の中には「⑩ 直近の在留期間における事業の経営又は管理に関する活動内容を具体的に説明する文書」という項目が含まれています。実務上、この「活動内容説明書」の補足・付属資料として、今後の見通しや増資計画を含めた事業計画書をセットで提出するのが一般的です。

まとめ

  • 黒字で経営が極めて安定しており、すでに新要件(資本金3,000万円等)を満たしている場合: → 公式サイトに記載された基本提出書類のみで更新許可が下りるケースがほとんどです。
  • 赤字・債務超過がある場合、または経過措置期間中に新要件への移行途上である場合: → 公式サイトには書かれていなくても、実務上「事業計画書」や「専門家評価書」の提出が実質的に必須となります。

Q10.新基準へ適合するかどうかは何で判断するのですか?

「2028年10月までに新基準(資本金3,000万円以上・常勤職員1名以上の雇用)へ適合するための具体的かつ合理的な見込み」について、入国管理局(入管)の審査官は単なる「口頭での主張」や「希望的観測」ではなく、客観的な数字・契約関係・財務構造・実行プロセスを組み合わせて厳格に判断します。

審査官が「この会社は本当に2028年10月までに新基準を達成できる」と判断する際の主な判断指標とチェックポイントは以下の通りです。

入管が「ロードマップの実現可能性」を判断する5つの基準

1. 資金調達(資本金3,000万円達成)の具体的かつ実現可能な計画

「どうやって資本金を3,000万円まで増額するのか」について、資金の出所(原資)とその達成プロセスが論理的であるかを判断します。

  • 役員借入金の資本化(DES:デット・エクイティ・スワップ)の有無: 会社にすでに代表者からの借入金(役員借入金)がある場合、それを資本金に振替(DES)する計画は、会社内部の手続きで完了するため「実現可能性が極めて高い」と判断されやすいです。
  • 利益剰余金の積立計画: 過去の売上・利益実績や、確定している受注契約(エビデンス)から試算して、「3年間で○百万円ずつの利益を積み上げて増資する」という数値計画に合理性があるか。
  • 第三者割当増資・投資家の意向: 外部の投資家やベンチャーキャピタル、親会社からの出資を見込む場合、投資内諾書(LOI)や出資意向表明書、投資家の資金証明が添付されているかで判断します。

2. 人員計画(常勤職員1名雇用)の必然性と人件費の確保

単に「2028年に1名雇います」と書くだけでは不十分です。

  • 業務上の必要性(定性判断): 売上拡大や事業拡大に伴い、「本当にそのタイミングで常勤職員(日本人・永住者等)が必要になる事業構造か」をチェックします。
  • 人件費支払い能力(定量判断): 常勤職員を1名雇うための人件費(年間約300万〜400万円+社会保険料の会社負担分)を支払った上で、会社に営業利益が残る収益構造になっているかを財務計画から判断します。
  • 採用プロセスの進行度: 既に求人を出している証拠(求人票の控え、人材紹介会社との契約書)、あるいは内定通知書や雇用契約書案などが添えられていると非常に高く評価されます。

3. 売上・収益計画を支える「裏付け資料(エビデンス)」の有無

ロードマップに記載された売上・利益の数字が「机上の空論」でないかは、添付された取引のエビデンスで判断します。

  • 契約書・発注書・内諾書: 主要取引先との継続的な業務委託契約書や、将来の受注を約束する書面。
  • 取引実績: 過去の通帳の入出金履歴、請求書・領収書の発行実績。
  • 市場の裏付け: 新規事業の場合は、ターゲット市場の規模や競合分析、テスト販売での実績データ。

4. 経営者自身の過去の実行力とコンプライアンス実績

計画の信頼性は、経営者および企業の「これまでの実績」からも判断されます。

  • 過去の事業計画の達成度: 前回のビザ申請・更新時に提出した計画と、実際の決算数値との剥離が大きくないか。
  • 公租公課の履行状況: 法人税・消費税・住民税・社会保険料(健康保険・厚生年金・雇用保険)を過去一度も滞納・遅延することなく期限通りに納付しているか。コンプライアンスが守られていない場合、どれだけ立派なロードマップを出しても不許可となる可能性が高まります。

5. 第三者専門家(中小企業診断士等)による「客観的な評価書」

審査官は入管の職員であり、あらゆる業界のビジネスモデルに精通しているわけではありません。そのため、中小企業診断士・公認会計士・税理士などの専門家が作成した「事業実現性評価書(意見書)」の内容を非常に重視します。

  • 専門家が財務分析(SWOT分析や資金繰り検証等)を行い、「このロードマップは客観的なデータに基づいており、2028年10月までの達成見込みが高い」とロジカルに結論付けている場合、審査官の判断に強力なプラスの影響を与えます。

判断基準のまとめ

判断項目評価が低い(不許可リスク高)評価が高い(許可の可能性高)
資金計画「売上が増えたら増資する」等の抽象的な記述DESの手続き完了/着手、投資内諾書、年次別の明確な資金計画
雇用計画期限直前(2028年)まで何の準備も記載がない業務拡大に伴う段階的採用計画、求人票や採用予算の計上
収益根拠口頭の説明のみ、根拠のない売上急増グラフ業務委託契約書、発注内諾書、継続的な振込通帳のコピー
専門家意見なし(申請者本人の作成のみ)中小企業診断士等による「事業実現性評価書」を添付

このように、審査では「数字の整合性」×「契約・資金の裏付け」×「専門家の客観的評価」を総合してロードマップの合理性が判断されます。

まとめ

今回の改正は、日本国内で真に実体のある持続可能な事業を営む外国人経営者を定着させることを目的としています。直ちにビザが失効するわけではありませんが、経過措置期間である2028年10月に向けて、行政書士や税理士などの専門家と連携しながら早めの体制整備を進めることが不可欠です。

経営管理ビザの更新・新基準対策は行政書士へご相談ください

今回の制度改定により、経営管理ビザの更新審査では単なる決算書類の提出にとどまらず、「2028年10月までの新要件(資本金3,000万円・常勤職員1名)適合に向けた論理的なロードマップ」や「赤字・債務超過における事業継続性の立証」が厳格に評価されるようになりました。

特に以下のような状況に該当する場合、自社のみで入管審査をクリアする書類を揃えるのは非常にハードルが高くなります。

  • 直近の決算で赤字や債務超過が残っている
  • 役員借入金の株式化(DES)や増資の手続き・立証を進めたい
  • 2028年までの資金繰り・雇用計画を盛り込んだ事業計画書を作成したい

最新の審査傾向を踏まえた個別提案から、事業計画書の構築、各種エビデンスの精査、申請取次までをトータルでサポートします。

「自社の財務状態で更新が通るか不安がある」「何から手をつければよいか分からない」とお悩みの経営者様・ご担当者様は、在留期限に余裕がある早い段階で、ビザ専門の行政書士へご相談いただくことをおすすめします。

代表行政書士

行政書士新川健人
行政書士新川健人
・日本行政書士会連合(登録番号第25271950号)
・京都府行政書士会(会員番号第3070号)
・申請取次行政書士(第172025200209号)
京都在住。外国人の就労ビザ、配偶者ビザ申請、国際結婚など国際業務を専門。スピード対応が得意。