特定技能「外食」から給食調理員が「飲食料品製造」へ移管!2027年4月受け入れ再開の背景とポイント

政府は2026年10月19日の外国人材受け入れに関する有識者会議にて、「特定技能1号」における給食調理員の受け入れ方針を見直すことを明らかにしました。これまで外食業分野に分類されていた医療・福祉施設などの給食調理員について、受入枠に余裕のある「飲食料品製造業」分野へ移管することで、2027年4月(予定)からの受け入れ再開を目指します。

本記事では、この方針転換の背景や具体的な変更点、今後の見通しについて詳しく解説します。

1. なぜ受け入れが停止していたのか?

外食業分野が受け入れ上限(5万人)に到達

2026年1月、政府は特定技能1号の分野別受け入れ上限数を設定しましたが、インバウンド需要の回復や国内の人手不足を背景に「外食業分野」の申請が急増しました。その結果、上限である5万人に達する見込みとなり、2026年4月に新規申請の受け入れが一時停止されました。

巻き添えを受けた「医療・福祉施設」の給食現場

特定技能の制度上、病院や高齢者施設等で患者・利用者に食事を提供する「給食調理員」は外食業分野に含まれていました。そのため、一般的な飲食店と同様に新規の外国人材受け入れがストップしてしまったのです。

2. 給食現場で生じていた深刻な人手不足

有効求人倍率は「7.37倍」に急騰

給食等の調理員(学校給食を除く)の有効求人倍率は2026年5月時点で7.37倍に達し、深刻な人手不足に陥っていました。

厚労省アンケート:調査企業すべての社で欠員

厚生労働省が2026年8月に医療・福祉施設の給食調理を請け負う38社を対象に実施した調査では、回答した34社すべてで欠員が生じていることが判明しました。

  • うち約4割の企業が「多数の欠員が出ている」と回答。
  • 現場からは「このままでは事業からの撤退も検討せざるを得ない」との悲鳴が上がっていました。

病院患者や施設入所者の食事提供が滞れば、生命や健康に直結する医療・福祉機能そのものが維持できなくなるリスクに直面していたと言えます。

3. 今回の対応策と見直し方針

政府は事態を重く受け止め、枠組みの緊急変更を決定しました。

項目変更前の運用変更後の運用方針
対象分野外食業分野飲食料品製造業分野へ移管
受け入れ再開時期停止中(受付不可)2027年4月(予定)
今後の手続き—事業者から新たに申請を求める方針
スケジュール—年内に見直し方針を閣議決定予定

全体の枠(総数)を急増させるのではなく、上限(13万3,500人)に対して比較的余裕がある「飲食料品製造業分野」に移管・付け替えを行うことで、緊急避難的に給食現場の穴埋めを図る形です。

4. 残された課題と今後の展望

今回の措置により、病院や福祉施設の給食現場には一定の安堵感が広がる見通しですが、根底にある問題がすべて解決したわけではありません。

  1. 一般の外食産業(レストラン・居酒屋等)の受け入れは停止したまま今回の救済措置はあくまで「医療・福祉施設の給食調理員」に限られます。外食業全体の受け入れ再開の見通しは立っておらず、外食チェーンや個人飲食店の人手不足懸念は解消されていません。
  2. 移管先(飲食料品製造業)の枠の逼迫飲食料品製造業分野も、受け入れ上限に対する充足率が8割に迫るなど受入数の枠が狭まりつつあります。
  3. 「枠の付け替え」に対する限界と枠自体の見直し論専門家や有識者会議の構成員からは、「単なる分野間の付け替えは一時しのぎに過ぎない」「実態を踏まえた受け入れ上限(受入見込み数)そのものの引き上げや柔軟な運用を行うべきだ」との議論も強く出されています。

FAQ:特定技能「給食調理員」の移管・受け入れ再開について

Q1. なぜ今回、給食調理員だけが救済されたのですか?

A. 医療や介護現場の維持に関わる緊急性が高いためです。 一般の飲食店と異なり、病院患者や高齢者施設入所者への食事提供は生命・健康維持に直結するインフラです。厚生労働省の調査等で深刻な欠員状況(有効求人倍率7.37倍など)が判明し、このままでは事業継続が困難になる懸念が強まったため、枠に余裕のある分野への緊急移管が決まりました。

Q2. 一般のレストランや居酒屋などの外食業も再開されますか?

A. 現時点では外食業分野全体の新規受け入れ再開の見通しは立っていません。 今回の措置はあくまで「医療・福祉施設等の給食調理員」に限られます。外食業分野全体の受入上限(5万人)の引き上げについては、引き続き議論や見直しが注視される状況です。

Q3. いつから新しい受け入れがスタートしますか?

A. 2027年4月(予定)からの再開を目指して手続きが進められています。 2026年内に見直し方針が閣議決定され、その後、省令改正や関係省庁(農林水産省・厚生労働省・出入国在留管理庁)の制度設計、試験区分の整理などを経て、2027年4月の運用開始を見込んでいます。

Q4. 働く外国人に必要な資格や試験はどうなりますか?

A. 今後、移管先(飲食料品製造業)に応じた評価試験などの詳細が示される予定です。 これまでは外食業技能測定試験などが対象となっていましたが、飲食料品製造業への移管に伴い、求められる試験区分や実務要件が整理されます。事業者は関係省庁からの正式なアナウンスを待つ必要があります。

Q5. すでに外食業の特定技能1号で受け入れている給食調理員はどうなりますか?

A. 既存の在留資格者の扱増や移行手続きについても、制度見直しの中で詳細が明確化されます。 受入機関(給食事業者)が新たに分野変更や届出等の手続きを行う方針とされているため、今後の閣議決定や省令改正の公表内容を確認して準備を進める必要があります。

まとめ

今回の動きは、「医療・介護インフラの維持」に向けた政府の迅速な軌道修正と言えます。

医療・福祉施設の給食事業者は、年内の閣議決定や省令改正等の最新情報に注視しつつ、2027年4月の再開に向けた受入体制や申請準備を進めていくことが求められます。

代表行政書士

行政書士新川健人
行政書士新川健人
・日本行政書士会連合(登録番号第25271950号)
・京都府行政書士会(会員番号第3070号)
・申請取次行政書士(第172025200209号)
京都在住。外国人の就労ビザ、配偶者ビザ申請、国際結婚など国際業務を専門。スピード対応が得意。