盗品に対して所有権に基づく返還請求ができる場合とは

まず盗品の占有者が所有権を即時取得しているかどうかが考慮されます。
盗品と知らずに買っていた場合は即時取得が成立します。
民法第192条
取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。

通常、即時取得が成立した場合、所有権は占有者に移転するため、もともとの所有者は返還請求ができなくなります。

しかし盗品の場合は被害者は盗難のときから2年間は占有者に対して盗品の回復請求をできることになります。
民法第193条
前条の場合において、占有物が盗品又は遺失物であるときは、被害者又は遺失者は、盗難又は遺失の時から2年間、占有者に対してその物の回復を請求することができる。

では盗品と知らずに買った占有者は無料でもとの所有者に返さないといけないかというと、もとの所有者は代価を払うことになります。
民法第194条
占有者が、盗品又は遺失物を、競売若しくは公の市場において、又はその物と同種の物を販売する商人から、善意で買い受けたときは、被害者又は遺失者は、占有者が支払った代価を弁償しなければ、その物を回復することができない。

最終的にもとの所有者は盗まれたものをお金を払って取り戻すことになってしまいます。
もちろん物を盗んだ犯人に対して損害賠償を請求することは可能です。

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