日本政府は、外国人が日本国籍を取得するための「帰化」の要件を厳格化する方向で調整を進めていることが明らかになりました。特に、現行の「引き続き5年以上日本に住所を有すること」という居住要件の延長が検討されています。
🧐 厳格化の主な検討内容と背景
政府が厳格化を検討する背景には、主に以下の2点があります。
- 居住要件の実質的な延長:
- 現行の帰化の要件は「引き続き5年以上日本に住所を有すること」が原則です。
- これに対し、永住許可の要件が原則「10年以上の在留」とされているため、より強い権利を与える国籍(帰化)の取得要件が永住許可よりも緩いという「逆転現象」が生じている点が問題視されています。
- 政府は、帰化の居住要件を永住許可と同等以上に引き延ばす方向で検討を進めています。
- 税・社会保険料の審査強化など:
- 「5年以上」の居住期間自体が変わらない場合でも、税や社会保険料の未納・滞納歴に対する審査を厳格化するなど、「安定した生活基盤の継続性」の評価を強化する方向です。
- 短期的な離職の繰り返しや、収入の大きな変動、納付の遅延・未納が目立つケースでは、形式的な5年以上の在住歴があっても許可が出にくくなるなど、実質的には「より長く、安定した在住歴」が求められることになると見られています。
🗓️ 今後の見通し
政府は、2026年1月に予定されている外国人政策の総合的対応策の取りまとめに向けて、具体的な策を詰める方針です。
この厳格化の動きは、外国人政策に関する有識者会議の中間報告書などで、「帰化の要件が永住許可に比して緩やか」との指摘がなされていたことを受けたもので、長年の懸案事項に政府が対応しようとしている形です。
📝 帰化の主な要件(現行の普通帰化)
現在、日本で帰化を申請する際の主な要件(普通帰化)は以下の通りです。政府は、このうち居住要件に注目して見直しを進めています。
- 引き続き5年以上日本に住所を有すること(検討対象)
- 18歳以上で本国法によって行為能力を有すること
- 素行が善良であること
- 自己または生計を一にする親族の資産または技能によって生計を営むことができること
- 国籍を有せず、または日本の国籍の取得によってその国籍を失うべきこと(重国籍防止)
- 日本政府を暴力で破壊しようとする思想のないこと
- その他、小学3年生程度の日本語の読み書きができること

