民法460条の「事前求償権」とは

事前求償権とは債務を弁済する前であっても保証人から主債務者に対し求償権を行使することです。
どういうことかというと債務者が債権者に借金を返す前に保証人の私に先に払っておきなさいということです。

ただ事前に求償できるならそもそも普通に債務を弁済すればいいんじゃないの?と疑問に思いますよね。

まず事前求償権の目的は事後求償権の不履行による不利益から保証人を保護するために規定されています。

たしかに保証人は主債務者の代わりに債務を弁済する義務を負っていますがそれはあくまで代替的な義務であり、本来的に債務を弁済すべきなのは主債務者です。

しかし、主債務者が破産したり、行方不明になったりした場合、保証人が弁済をし、主債務者に求償(事後求償権)をしても取り戻すことが困難となります。

そこで民法では保証人が将来弁済を強いられる前に、主債務者に対して積極的に弁済を求める権利を認めることで保証人の保護を図っています。

債権者から請求が来る前に保証人が積極的に弁済を求めることで、主債務者は早期に債務を弁済する必要性に迫られます。

これにはメリットがあり債務を放置しておくと利息が膨らむなどの不利益を受けますが、早期に弁済することで主債務者と保証人ともに不利益を免れることにつながります。

このように、事前求償権は「保証人の保護」と「主債務者の債務の早期解決促進」という二つの目的を達成するために設けられている制度なのです。

コメント