観光庁は、旅館業法や住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づかない「違法民泊」を宿泊予約サイトから徹底的に排除するため、新たなシステムを2026年度に運用開始する方針を固めました。
この新システムの導入により、自治体と宿泊予約サイトが違法物件情報をリアルタイムで共有し、旅行者が知らずに違法施設を予約してしまうリスクを根本から解消することを目指します。
💻 新システムの仕組み
新システムは、以下の2つの柱で違法民泊の排除を可能にします。
1. 登録情報のリアルタイム共有
- 自治体の役割: 自治体が旅館業法や民泊新法に基づいて認定・登録した宿泊施設の情報(所在地、許可番号など)を一元的にデータベース化します。
- 予約サイトの役割: 予約サイトは、掲載を希望する物件がこのデータベースに登録されているかを自動で照会します。
2. 未登録・違法物件の自動排除
- 予約サイト側で、観光庁のデータベースに登録番号がない物件、または登録を抹消された物件と一致するものが掲載されていた場合、システムがそれを検知し、自動的かつ即座に掲載を停止します。
- これにより、手動でのチェックや通報を待つことなく、違法物件が市場に出回ることを防ぎます。
🚨 従来の課題と新システム導入の背景
これまでも自治体や観光庁は違法民泊対策を行ってきましたが、以下のような課題がありました。
- 情報連携の遅れ: 自治体が違法物件を発見しても、その情報が宿泊予約サイトに伝わるまでに時間がかかり、その間に予約が入ってしまうケースがありました。
- 人力での対応: 予約サイト側が物件の合法性を確認する作業が人手に頼っており、チェック漏れが発生しやすかったり、迅速な対応が難しかったりしました。
新システムは、これらの課題をデジタル技術で解決し、違法な事業者の活動余地をなくすことを目的としています。
🛡️ 新システムによる効果
このシステムの導入により、以下の効果が見込まれます。
- 旅行者の保護: 違法施設は安全面や衛生面で問題があることが多く、旅行者がトラブルに巻き込まれるリスクが大幅に減少します。
- 合法事業者の保護: 旅館やホテル、適法な民泊事業者が、安価な違法物件との不公平な競争にさらされることを防ぎ、市場の公平性を保ちます。
- 地域住民の安心: 違法民泊による騒音やゴミ問題などの地域トラブルが減少し、観光による地域住民の生活環境への影響が緩和されます。
観光庁は、システム構築に必要な費用を来年度予算案に盛り込む方針で、2026年度の本格運用に向けて関係省庁や予約サイト事業者との連携を進めていく計画です。

