行政書士の開業手順についてまとめましたので解説していきます。
行政書士試験の合格
行政書士試験は年に1回あります。
例年11月に開催され、近年の合格率は10%強で推移しています。
この行政書士試験の合格発表が翌年の1月の末にあります。
合格後は合格証が2月に発送されます。
この届いた合格証を含めて申請書類の提出を行います。
行政書士会を通して登録を行う
開業する地域の行政書士会を通して登録を行います。
今回は京都の場合について解説します。
新規登録受付は毎月1回だけ行われており、京都は第1火曜日に登録入会審査（面接等）が行われています。
この日に間に合わなかった場合はまた翌月になるのを待たなくてはなりません。
① 登録申請（審査）に必要な書類の郵送を申請します。
②必要な書類を準備し、登録申請（審査）日の５営業日前の午後５時までに京都府行政書士会に郵送提出します。
③ 申請書類郵送後、電話にて登録申請（審査）の事前予約をします。
郵送は到着がレターパックなどの確認できる方法で行います。
電話がかかってくるわけではないので自分から到着を確認して電話します。
申請に必要な申請書類は以下です。
・行政書士登録申請書
・履歴書
・住民票の写し（本籍記載）
・行政書士となる資格を証する書面(合格証)
・身分証明書(運転免許証などとは異なり「破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者に該当しない者である旨」の証明を受けたもの。)
・欠格事由に該当しないことの誓約書
・申請者の正面顔写真(行政書士証票にも使われます)
・行政書士会入会届
・印鑑届（職印が必要になります）
・事務所を証する書類
・行政書士政治連盟加入届(任意)
・事務所の使用権を証する書類
・事務所の位置図
・事務所の平面図 間取り図と事務所案内配置図
・事務所の外観及び内部を示す写真
作図する必要があるのでここは少し時間がかかります。
そして必要な書類に事務所関係があります。
したがって行政書士登録をするには備品を含めて先に事務所を用意する必要があります。
行政書士事務所をどこにするか決める
事務所は必ず必要なため用意する必要があります。
・自宅兼事務所
・テナント
・レンタルオフィス
などから決めます。
自宅兼事務所の場合はプライバシーの確保など一定の要件があります。
行政書士登録のための設備備品の購入
設備も登録申請に必要なため準備する必要があります。
・事務用机・椅子
・電話・FAX（電話機は携帯電話機でも可）
・書類作成装置（パソコン・ワープロ等）
・応接セット(テーブル・椅子・記帳台等)
・コピー機
・書類保管庫
・金庫
・用紙・雑品等収納庫又は収納棚
・業務用図書及び図書棚備品
これら設備が最低限必要となってきます。
パソコンはワードとエクセルが使えることが必須。
プリンターは行政書士会とのやり取りでFAX指定があるのであった方がいいですね。
その他シュレッダーがあると便利です。
備品は職印が最低限必要になってきます。
行政書士登録費用の支払い
以上の諸々を揃えた上で行政書士会に書類を送ります。
書類の確認と登録費用の支払いがあります。
京都の場合は以下の費用がかかります。
登録免許税（収入印紙） 30,000円
登録審査手数料（全国共通） 25,000円
入会金 200,000円
会費半期（６か月）分前納（月額 8,000円） 48,000円
政治連盟会費(年額・任意) 6,000円
合計（政治連盟加入の場合）
収入印紙 30,000円
現金 279,000円
総合計 309,000円
書類に不備があれば補正し、それが完了すると事務所調査があります。
行政書士登録の事務所調査
調査といっても大掛かりなものではなく所属することになる支部長が事務所を見に来ます。
人によるかと思いますが1分ほどで終わります。
事務所調査に問題がなければ登録が進められ、ここから一カ月ほどの期間を要します。
行政書士登録と行政書士証の交付
書類等に問題なければようやく行政書士登録が完了します。
日本行政書士連合会の行政書士名簿に登録がされることで行政書士と名乗ることができるようになります。
また登録の翌月に交付式が行われ行政書士証などが交付されることになります。
ここから行政書士であり一事業者として営業することができるようになります。
行政書士が開業後にやること
・ホームページの公開(ホームページの準備は開業前からしておく方がいいですね)
・名刺の作成
・開業届の提出
青色申告申請承認書や消費税課税事業者選択届なども必要に応じて提出します。
・事業計画の策定
・創業融資や補助金の活用
・商工会議所などの交流会への参加(有象無象の交流会があるのでまずは商工会議所から無難だと思います。)
このあたりは必要があればやっておいた方がいいでしょう。
開業後の行政書士の業務
行政書士の業務は多岐にわたりますが大きく三つに分かれます。
またこの三つの業務は行政書士の独占業務になります。
官公署に提出する書類の作成・・・許認可等の申請書類
権利義務に関する書類の作成・・・遺産分割協議書、各種契約書、示談書、協議書、内容証明
事実証明に関する書類の作成・・・車庫証明などの各種図面類
細かく列挙すると以下のようなものがあります。
1建設業許可申請（個人・新規）知事
2建設業許可申請（個人・更新）知事
3建設業許可申請（法人・新規）知事
4建設業許可申請（法人・新規）大臣
5建設業許可申請（法人・更新）知事
6建設業許可申請（法人・更新）大臣
7建設業許可申請（般・特新規）
8建設業許可申請（許可換え新規）
9建設業許可申請（業種追加）
10経営状況分析申請
11経営規模等評価申請及び総合評定値請求申請
12建設業変更届出（事業年度終了）
13建設業変更届出（事業年度終了）大臣
14建設業許可変更届（経営業務の管理責任者）
15建設業許可変更届（専任技術者）
16建設業許可変更届（役員・その他）
17建設工事紛争処理申請
18農地法第3条許可申請
19農地法第3条の3の届出
20農地法第4条許可申請
21農地法第5条許可申請
22農地法第4条届出
23農地法第5条届出
24農用地除外申出
25開発行為許可申請（第29条）
26開発行為許可申請（第34条）
27河川関係許可申請
28宅地建物取引業者免許申請（新規）知事
29宅地建物取引業者免許申請（更新）知事
30宅地建物取引業者免許申請（新規）大臣
31宅地建物取引業者免許申請（更新）大臣
32宅地建物取引業者名簿登載事項変更届（事務所,役員,専任取引主任者,その他の内の１項目）
33宅地建物取引主任者資格登録申請
34資力確保措置の状況についての届出
35建築士事務所登録申請（新規）
36建築士事務所登録申請（更新）
37建築士事務所登録申請（変更）
38建築士法第23条の6の規定による設計等の業務に関する報告書
39測量業者登録申請（新規）
40測量業者登録申請（更新）
41測量法第55条の8第1項の規定に基づく書類（財務に関する報告書）
42解体工事業者登録申請
43建設工事に係る資材の再資源化等に関する法第10条届出
44道路位置指定申請
45建築確認申請（100㎡未満）
46マンション管理業者登録申請
47屋外広告物設置許可申請
48道路占用許可申請・道路使用承認申請
49特殊車両通行許可申請
50特殊車両通行許可申請（電子申請）
51道路幅員証明書取得業務
52一般貸切旅客自動車運送事業経営許可申請（貸切バス）・（運輸開始届出書含む）
53一般貸切旅客自動車運送事業（貸切バス）営業報告書
54一般貸切旅客自動車運送事業（貸切バス）事業実績報告書
55一般貸切旅客自動車運送事業（譲渡譲受・合併・分割・相続）許可申請
56一般貸切旅客自動車運送事業（事業計画変更）許可申請
57一般乗用旅客自動車運送事業経営許可申請（タクシー）・（運輸開始届出書含む）
58一般乗用旅客自動車運送事業（タクシー）営業報告書
59一般乗用旅客自動車運送事業（福祉タクシー）新規許可申請
60一般乗用旅客自動車運送事業（譲渡譲受・合併・分割・相続）許可申請
61一般乗用旅客自動車運送事業（事業計画変更）許可申請
62一般乗合旅客自動車運送事業（法令試験セミナー含む）新規許可申請
63一般乗合旅客自動車運送事業（譲渡譲受・合併・分割・相続）許可申請
64一般乗合旅客自動車運送事業（事業計画変更）許可申請
65特定旅客自動車運送事業新規許可申請
66特定旅客自動車運送事業（事業計画変更）許可申請
67（旅客自動車運送事業）事業計画変更届出・変更届出
68旅客運送事業改善報告書
69有償貸渡許可申請（レンタカー・リース）
70自家用自動車有償運送許可申請
71一般貨物自動車運送事業経営許可申請（運輸開始届出書含む）
72一般貨物自動車運送事業実績報告書
73貨物自動車運送事業改善報告書
74一般貨物自動車運送事業（譲渡譲受・合併・分割・相続）許可申請
75（一般貨物自動車運送事業）事業計画変更許可申請（局事案）
76（一般貨物自動車運送事業）事業計画変更許可申請（支局事案）
77（一般貨物自動車運送事業）事業計画変更届出・変更届出
78第一種利用運送（自動車）新規登録申請
79第一種利用運送（自動車）事業承継届出
80第一種利用運送（自動車）変更届出
81第二種利用運送事業新規許可申請
82第二種利用運送事業（事業計画変更）許可申請
83第二種利用運送事業変更届出
84自動車登録申請（新規）
85自動車登録申請（新車新規・OSS）
86自動車登録申請（移転）
87自動車登録申請（変更）
88自動車登録申請（抹消）
89軽自動車届出
90出張封印代行
91自動車の回送運行許可申請
92道路運送車両の基準緩和認定申請
93自動車運転代行業の認定申請
94旅行業登録申請
95倉庫業登録申請（約款・料率表含む）
96運転免許申請
97自動車保管場所証明書（車庫証明）
98自動車保管場所届出書（軽自動車車庫証明）
99深夜における酒類提供飲食店営業営業開始届出
100風俗営業許可申請 1号 キャバレー
101風俗営業許可申請 2号 料理店
102風俗営業許可申請 2号 社交飲食店
103風俗営業許可申請 3号 ダンス飲食店
104風俗営業許可申請 4号 ダンスホール等
105風俗営業許可申請 5号 低照度飲食店
106風俗営業許可申請 6号 区画席飲食店
107風俗営業許可申請 7号 マージャン店
108風俗営業許可申請 7号 パチンコ店等
109風俗営業許可申請 7号 その他遊技場
110風俗営業許可申請 8号 ゲームセンター等
111性風俗特殊営業営業開始届出（店舗型）
112性風俗特殊営業営業開始届出（無店舗型）
113性風俗特殊営業営業開始届出（映像送信型）
114古物商許可申請
115火気使用設備等の設置届
116防火対象物使用開始届
117危険物製造所設置認可申請
118消防計画作成
119中小企業等協同組合設立認可申請
120中小企業等協同組合定款変更許可申請書
121中小企業等協同組合決算関係書類提出書
122中小企業等協同組合役員変更届出書
123輸出入許可・承認等手続
124貸金業登録申請
125登録電気工事業者登録申請
126電気工事業開始届
127工場設置認可申請
128投資助言・代理業者登録申請（法人）
129採取計画認可申請（都道府県知事の認可）
130採石業者登録申請（都道府県知事の登録）
131社会保険新規適用届
132月額変更届
133算定基礎届
134介護保険制度申請（指定居宅サービス事業者申請）
135介護保険制度申請（指定居宅介護支援事業者申請）
136介護保険制度申請（介護保険施設開設許可申請）
137医療法人設立認可申請
138特定保健食品の許可審査手続
139公害法関係申請
140一般廃棄物処理業許可申請
141一般廃棄物処理施設設置許可申請
142産業廃棄物処理業許可申請〔収集運搬・積替保管を除く〕
143産業廃棄物処理業許可申請〔収集運搬・積替保管を含む〕
144産業廃棄物処理業許可申請〔中間処理（焼却、破砕等）〕
145産業廃棄物処理業許可申請〔最終処分〕
146産業廃棄物処理施設設置許可申請〔中間処理（焼却、破砕等）〕
147産業廃棄物処理施設設置許可申請〔最終処分（埋立、その他）〕
148特別管理産業廃棄物処理業許可申請〔収集運搬・積替保管を除く〕
149特別管理産業廃棄物処理業許可申請〔収集運搬・積替保管を含む〕
150産業廃棄物処理業・変更許可申請〔収集運搬・積替保管を除く/含む〕
151特別管理産業廃棄物処理業・変更許可申請〔収集運搬・積替保管を除く/含む〕
152産業廃棄物処理業・更新許可申請〔収集運搬・積替保管を除く/含む〕
153特別管理産業廃棄物処理業・更新許可申請〔収集運搬・積替保管を除く/含む〕
154薬局開設許可
155化粧品製造販売許可
156医薬品製造販売許可
157医療器具販売許可
158飲食店営業許可申請
159食品製造業許可申請
160旅館営業許可申請
161自動車解体業許可申請（都道府県知事の許可）
162労働保険新規適用申請
163労働保険年度更新 概算・確定保険料申告書（継続事業）
164労働保険年度更新 概算・確定保険料申告書（一括有期事業）
165労働保険年度更新 概算・確定保険料申告書（有期事業）
166労働保険適用廃止（保険料確定手続を含む）（継続事業）
167労働保険適用廃止（保険料確定手続を含む）（一括有期事業）
168労働保険適用廃止（保険料確定手続を含む）（有期事業）
169就業規則
170就業規則変更
171賃金・退職金・旅費等諸規定
172変形労働時間制に関する労使協定
173一般労働者派遣事業許可申請
174一般労働者派遣事業更新許可申請
175特定労働者派遣事業届
176有料職業紹介事業許可申請
177宗教法人設立（規則認証）申請
178学校法人設立認可申請
179地縁団体認可申請
180著作権登録申請（プログラム関係を除く）
181プログラムの著作物に係る登録申請
182半導体集積回路の回路配置利用権登録申請
183種苗法に基づく品種登録申請
184特許権移転登録申請
185専用実施権設定登録申請
186商標権移転登録申請
187専用使用権設定登録申請
188輸入差止申立書、輸入差止情報提供書
189国籍取得届等の手続
190帰化許可申請（被雇用者）
191帰化許可申請（個人事業主及び法人会員）
192帰化許可申請（簡易帰化）
193渉外身分関係手続（結婚、離婚、養子縁組等）
194在留資格認定証明書交付申請（居住資格）
195在留資格認定証明書交付申請（就労資格）
196在留資格認定証明書交付申請（非就労資格）
197在留資格認定証明書交付申請（投資・経営）
198在留資格変更許可申請（居住資格）
199在留資格変更許可申請（就労資格）
200在留資格変更許可申請（非就労資格）
201在留資格変更許可申請（投資・経営）
202在留期間更新許可申請（居住資格）
203在留期間更新許可申請（就労資格）
204在留期間更新許可申請（非就労資格）
205在留期間更新許可申請（投資・経営）
206永住許可申請
207在留資格取得許可申請
208再入国許可申請
209資格外活動許可申請
210就労資格証明書交付申請
211一般旅券申請
212日本国査証申請
213外国査証申請
214対日投資等に関する手続
215外国向け文書の認証手続
216公共物用途廃止・普通財産払下申請
217建設工事等入札資格審査申請
218建設工事等入札資格審査申請（電子申請）
219物品買入れ等入札資格審査申請
220物品買入れ等入札資格審査申請（電子申請）
221役務（清掃等）入札参加資格審査申請
222事業所税申告
223不動産取得税申告
224酒類販売業免許申請
225公共物使用許可申請
226会社設立手続
227会社の合併、分割手続
228会計記帳・決算書類作成
229議事録作成
230独占禁止法第9条の規定による報告書・届出書
231独占禁止法第11条の規定による認可申請書
232株式取得,合併・分割・共同株式移転・事業等の譲受に関する計画届出書等
233課徴金減免申請
234中小企業等協同組合の届出
235公正競争規約認定申請
236自賠責保険請求公正競争規約認定申請
237マンション管理規約作成
238遺言書の起案及び作成指導
239遺産分割協議書の作成
240相続人及び相続財産の調査
241相続分なきことの証明書作成
242遺言執行手続
243離婚協議書作成
244内容証明郵便作成
245電子内容証明作成
246契約書作成
247告訴状・告発状作成
248請願書・陳情書
249公庫等金融機関に対する融資申込
250社会福祉法人設立認可申請
251一般社団法人設立許可申請
252一般財団法人設立許可申請
業務内容報酬額
253一般社団・一般財団法人から公益社団・財団法人への公益認定申請
254特例民法法人から公益社団・財団法人への移行認定申請
255特例民法法人から一般社団・財団法人への移行認定申請
256特定非営利活動法人設立認証申請（NPO法人設立）
257任意成年後見契約に関する手続
258聴聞・弁明の機会の付与手続
259各種国際間貿易取引通信文作成
260英文等各種外国語による契約書作成
261経営革新計画書の作成
262農業経営改善計画の作成
263事業承継計画書の作成
264遺留分特例に基づく合意書の作成
265中小企業事業承継再生計画の作成
266知的資産経営報告書作成
267知的資産の調査
268公的補助金・助成金の受給申
行政書士登録後の研修
行政書士に登録後に一定の研修を修了することでできることが増えます。
申請取次資格・・・行政書士が出入国管理に関する申請書を申請人に代わって提出することができるようになります。
丁種封印資格・・・行政書士が自動車の保管場所に出向いてナンバープレートと封印を取り付けることができるようになります。
特定行政書士・・・申請が不許可になった場合などに、行政庁に対して不服を申し立てる手続き（審査請求、再審査請求など）の代理を行うことができるようになります。
以上、行政書士の開業手順について解説しました。
ご参考になりましたら幸いです。
