募集株式の発行について解説します。│司法書士試験

募集事項の決定

まず非公開会社の募集株式の募集事項の決定は株主総会の特別決議で行います。
非公開会社の募集事項の決定=株主総会の特別決議

一方、公開会社の募集株式の募集事項の決定は取締役会が決議します。
公開会社の募集事項の決定=取締役会

有利募集について
有利募集を行う場合は公開会社でも株主総会の特別決議が必要です。
公開会社の募集事項の決定が有利募集である場合=株主総会の特別決議

ただし上記を登記申請する場合に登記官は有利募集かどうかが判断できません。
よって公開会社が有利募集にもかかわらず募集事項を取締役会で決議した場合でも登記は受理されます。
会社法上は有利募集を取締役会決議で決議した場合違反となりますが、(新株発行の差し止め事由にはなる)
登記手続上は有利募集を取締役会決議で決議した場合でも認められます。

募集事項の通知もしくは公告

非公開会社の場合は募集事項を決定した後に通知もしくは公告は不要です。
株主総会で募集事項を決定しており、株主が募集事項を知っているからです。
非公開会社=通知もしくは公告不要

一方、公開会社の場合は募集事項を決定した後に通知もしくは公告を要します。
取締役会で募集事項を決定しており、株主が募集事項を知らないからです。
公開会社=通知もしくは公告必要

そしてこの通知または公告は払込期日の2週間前に行う必要があります。
この期間は株主が差し止め請求をするための期間です。
ただし登記手続き上、通知または公告を行ったことを証する書類は添付書類ではありません。
登記事項発生の効力要件ではないからです。
しかし2週間の期間を設けなかった場合は無効になります。
したがって2週間の期間が空いていることが申請書からわかればよいということになっています。

非公開会社の第三者割当と株主割り当ての募集事項決定機関の違い

どちらも決定機関は原則として株主総会ですが、
第三者割当の場合は株主総会の委任があれば取締役(会)が決定できます。

株主割り当ての場合は定款の定めがあれば取締役(会)が決定できます。

第三者割当の割り当てについて

第三者割当には「募集事項の決定」→「引き受けの申し込み」→「割り当て」という手順がある。
株主割り当ては「募集事項の決定と割り当て」→「引き受けの申し込み」という手順になっている。

つまり株主割り当ての場合は募集事項の決定と同時に割り当ても済んでいることになる。

一方、第三者割当の場合は募集事項の決定は済んでいても割り当ての決定がまだである。

ではこの割り当ては誰が決めるかというと割り当てる株式の種類で決まる。

・公開株式を割り当てる場合→自由

・譲渡制限株式を割り当てる場合→取締役会があれば取締役会、なければ株主総会

となっている。

株主割り当ての通知

株主割り当てを行う場合、申込期日との間に2週間の期間を要する。

この2週間の意味は第三者割当の場合は差し止め請求期間であったが

株主割り当ての場合は申し込むかどうかの考慮期間とされている。

募集株式の発行は原則と例外が混在してややこしいのですがシンプルにまとめると以下となります。

募集事項の決定
非公開会社株主総会(特別決議)
公開会社取締役会
第三者割り当て
公開株式自由
譲渡制限株式1.取締役会2.株主総会(特別決議)

以上、募集株式の発行について解説しました。

ご参考になりましたら幸いです。

この記事を書いた人
京都安心行政書士事務所

【保有資格】
・行政書士(日本行政書士会連合会登録/京都府行政書士会所属)・ファイナンシャルプランニング技能士3級(資産設計提案業務)・宅地建物取引士試験合格

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