貸借契約を全体としてみてとは賃貸人と賃借人との契約も考慮して不当利得に該当するかどうか考えるということです。
以下の判例を見ていきます。
「甲が建物賃借人乙との間の請負契約に基づき建物の修繕工事をしたところ、
→甲(請負人)が乙(賃借人)との間で請負契約をしました。
その後乙が無資力になったため、甲の乙に対する請負代金債権の全部又は一部が無価値である場合において、
→賃借人が無資力になったため、請負人が債権を回収できないとき
右建物の所有者丙が法律上の原因なくして右修繕工事に要した財産及び労務の提供に相当する利益を受けたということができるのは、
→丙(賃貸人)は建物の価値が上がったているので
丙と乙との間の賃貸借契約を全体としてみて、丙が対価関係なしに右利益を受けたときに限られる」
→賃貸人は請負人から利益を受けているので利得分を支払う義務がある。
ただし全体としてみたとき賃貸人と賃借人の間で賃料はいらないから代わりに修繕費を払ってねという契約があった場合は賃貸人は対価関係なしに利益を受けているわけではないので利得分を支払う義務がない、ということになります。
コメント