悪意の転得者を被告とした詐害行為取消権とは

債務者(B)から悪意の受益者(C)が財産を取得し転売によって悪意の転得者(D)が財産を取得した場合に、債権者(A)から悪意の転得者(D)を被告とした詐害行為取消請求がなされたとき、転得者(D)は財産を債務者(B)に返還しなければならず、その代わり債務者(B)が受益者(C)から受けた反対給付を限度に請求できるとされています。

ここで問題となってくるのが受益者(C)は実害を受けず、被告とされた転得者(D)のみが不利益を被ることになる点です。

たとえば受益者(C)が債務者(B)から100万で土地を買い、転得者(D)に300万で転売したとする。

この場合、転得者(D)は土地を債務者(B)に返還するが、債務者(B)が受けた反対給付は100万であるため、転得者(D)には最大でも100万しか帰ってこないことになる。

つまり受益者(C)は200万円得をして転得者(D)が200万円損をするということです。

転得者が受益者に対して不当利得返還請求を行えばよいと考えられますが一般的には詐害行為取消権は相対効となっており受益者と転得者との間での法律行為に対しては効力を有しないはずです。ただし、法解釈によっては転得者が受益者に対して不当利得返還請求を行える可能性もあるようです。

たしかに転得者も悪意であるため不利益を被ることは致し方ないと解することもできますがそれにしても過大な不利益であることは否めません。

法改正の必要性も指摘されており、現行の法律が必ずしも納得感のあるものであるとは限らないケースでした。

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