外国人の在留手続き手数料、欧米並みの「大幅値上げ」を検討へ

日本政府は、外国人の在留資格に関する各種手続きの手数料を、欧米諸国並みの水準に大幅に引き上げる方針を固めました。これは、現行の手数料が約半世紀にわたりほとんど変わっておらず、国際的に見て著しく低いためです。

この方針を実現するため、政府は来年(2026年)の通常国会出入国管理・難民認定法(入管法)の改正案を提出する方向で調整を進めており、2027年度中の施行を目指しています。


💸 主要な手続きの値上げ検討案

特に外国人が頻繁に行う主要な手続きについて、大幅な引き上げが検討されています。

手続き内容現行(2025年4月1日改定後)検討中の新水準(目安)
在留期間更新許可申請6,000円3万円~4万円程度
永住許可申請10,000円10万円以上

※現行の「6,000円」は、2025年4月1日から適用されている改定後の窓口申請の手数料です。

🌍 欧米水準との比較

日本が現行水準のままでは国際的に見て安すぎると判断している背景には、主要先進国の手数料水準があります。

手続き(就労ビザ等)手数料の目安(円換算)
アメリカ変更・更新申請約65,000円~73,000円
イギリス変更・更新申請約16万円
日本(検討案)更新申請3万円~4万円程度

検討中の水準に引き上げられたとしても、アメリカやイギリスなどの国々と比較すると、まだ安価な水準に留まる見込みです。

💰 増収分の使い道と目的

手数料引き上げによって得られる増収分は、以下の目的のために充当される計画です。

  1. 在留外国人受け入れ環境の整備:
    • 日本語教育や医療などの生活インフラ整備の財源とする。
  2. 入管行政の強化:
    • 急増する外国人への対応や、不法滞在者対策、審査体制の強化などに充てる。
  3. 訪日ビザ(短期滞在)の手数料引き上げ:
    • 外務省も、観光客向けの短期滞在ビザ(1次ビザ3,000円、数次ビザ6,000円)について、欧米(約2.5万円〜2.8万円)並みに引き上げる方針で、増収分はオーバーツーリズム対策に活用する予定です。

📢 在留外国人や企業への影響

今回の値上げが実現すれば、現行水準から見ると約5倍以上の大幅な負担増となります。

  • 個人への影響: 経済的な負担が増大し、特に数年ごとの更新が必要な外国人にとっては大きな家計負担となる可能性があります。
  • 企業への影響: 企業が外国人の手続き費用を負担している場合、人件費を含めた雇用コストが増加することになります。

政府は、増収分をサービス向上に還元することで、在留外国人にとってより快適な環境を整備したい考えですが、今後の国会での審議と具体的な制度設計に注目が集まります。

この記事を書いた人
京都安心行政書士事務所

【保有資格】
・行政書士(日本行政書士会連合会登録/京都府行政書士会所属)・ファイナンシャルプランニング技能士3級(資産設計提案業務)・宅地建物取引士試験合格

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