【公正証書】公正証書の手続きがオンライン化(リモート方式)へ!何が変わる?変更点を解説します。

厳粛なイメージのある「公正証書」の作成手続きが、いよいよデジタル化されます。この変更は、法律の改正(2023年法律第53号)によるもので、私たちの生活やビジネスにおける手続きをより効率的で便利にするものです。

公正証書の「電子化」と「リモート化」

今回のデジタル化の大きなポイントは、主に以下の2つです。

  1. 公正証書の電子化:
    • 公正証書の原本が、これまでの紙の書面から、PDFファイルなどの電磁的記録へと変わります。
    • これにより、手書きの署名が電子サインに変わり、公証人の押印も電子署名へと移行します。
    • ただし、電磁的記録での作成が難しい場合など、例外的に紙の書面で作成されることもあります。
  2. 公正証書のリモート作成:
    • 公証役場に出向くことなく、リモート(遠隔)で公正証書を作成できるようになります 。
    • これにより、関係者が遠方にいる場合でも、インターネットを介して手続きを進めることが可能になり、移動時間や交通費の削減につながります。

リモート方式とは?

この方式では、Web会議システム(例:Microsoft Teams)を利用して、公証役場と依頼人をオンラインでつなぎます。これにより、以下のような参加形態が可能になります。

  • 公証役場外から、一人で参加
  • 公証役場外から、複数人で同じパソコンを使って参加
  • 一部の人が公証役場で参加し、他の人がリモートで参加

リモート作成に必要な要件と機材

リモート方式で公正証書を作成するためには、いくつかの要件と機材が必要です。

  • 要件:
    • 依頼人からの申し出があり、他の関係者(通訳人や立ち会い人を除く)が同意していること。
    • 公証人がリモートでの作成を適当と判断すること。
    • 法令上、リモートでの作成が認められていること(保証意思宣明公正証書など、一部の公正証書は対象外)。
  • 必要な機材:
    • パソコン
    • ウェブカメラ、マイク、スピーカー
    • 電子サインを行うためのタッチ入力可能なディスプレイ、またはペンタブレット
    • メールアドレス

手続きの流れ

リモート方式での公正証書作成は、以下のステップで進められます。

  1. 事前準備:
    • 公証役場にリモート方式の利用を申し込み、Web会議への招待メールを受け取ります 。
  2. 当日:
    • 招待メールのURLからWeb会議に参加し、公証人による本人確認と意思確認を受けます 。
    • 公証人が画面共有で公正証書案を読み上げ、参加者全員が内容を確認します。
    • 確認後、公正証書の原本となるPDFファイルが作成されます。
    • 参加者はタッチペンなどを使って電子サインを行います。
    • 公証人が電子サインと電子署名を行い、原本が完成します。
  3. 完了後:
    • 完成した電子公正証書は、公証人がダウンロードサイトにアップロードします。
    • 参加者はメールで送られてくるURLとパスワードを使って、正本や謄本をダウンロードできます。

リモート方式の導入により、場所や時間の制約が大幅に軽減され、よりスムーズに公正証書を作成できるようになりますね。

ただし、スマホは対応外のようで、タッチパネルに対応したパソコンかタブレットが必要となってくる点には注意が必要です。