2024年に成立した改正入管法や、2025年後半から急速に進んでいる実務上の運用見直しにより、外国人住民にとって最も身近な「永住者」と「技術・人文知識・国際業務(技人国)」の在留資格において、厳格化の波が押し寄せています。
この記事では、今まさに起きている変化と、今後予定されている改正内容を分かりやすくまとめました。
1. 永住者:税金・社保の未納で「取り消し」が可能に
これまで永住権は、一度取得すれば「犯罪を犯す」か「再入国許可なしで長期出国する」以外では取り消されることはほとんどありませんでした。しかし、2027年4月(予定)からは、以下のルールが加わります。
- 公的義務の不履行による取消: 税金(所得税・住民税など)や社会保険料(年金・健康保険)を「故意に」支払わない場合、永住許可が取り消される対象になります。
- 在留カードの携帯・届出義務: 住居地の変更届を怠るなど、入管法上の義務違反も取消事由に追加されました。
- 「格下げ」の可能性: 取消の際、直ちに強制送還されるのではなく、状況に応じて「定住者」など他の資格へ変更される運用も検討されています。
ポイント: 「うっかり忘れ」ではなく、督促を受けてもなお支払わないといった「悪質性」が判断基準になるとされていますが、これまで以上に公的義務の遵守が厳格に求められます。
2. 技人国(技術・人文知識・国際業務):審査の「実態確認」が強化
就労ビザの代表格である「技人国」については、法律の条文が変わるというより、入管の審査(運用)が非常に厳しくなっています。
- 専門性の厳格チェック: 「通訳・翻訳」名目で採用されたのに、実際には単純労働(レジ、清掃、工場のライン作業など)をさせているケースが問題視されています。2025年後半以降、業務内容が専門的であることを証明する資料の要求が増えています。
- 留学時代の素行の遡及: 留学生から技人国へ変更する際、学生時代の出席率やアルバイトの超過(オーバーワーク)がこれまで以上に厳しくチェックされ、不許可になるケースが急増しています。
- 報酬水準の確認: 日本人と同等以上の給与が支払われているか、企業の経営実態は安定しているかといった「継続性」の審査も厳格化しています。
3. なぜ今、厳格化が進んでいるのか?
背景には、日本の外国人受け入れ政策の大きな転換があります。
- 「育成就労制度」の導入: 2027年までに「技能実習」に代わる新制度が始まります。これに伴い、長期滞在者が増えることを見越し、「ルールを守る人だけを優遇する」という姿勢を明確にしています。
- 社会保障制度の維持: 外国人住民も社会の一員として、公平に税・社保を負担することを求めています。
- 不法就労の抑止: 専門職ビザを隠れ蓑にした単純労働を排除し、労働市場の健全化を図る狙いがあります。
4. 外国人を雇用する企業・本人が気をつけるべきこと
| 永住者の方 | 技人国の方・採用企業 |
| 税金・年金は期限内に支払う(口座振替推奨) | 契約通りの専門業務に従事させる |
| 引越し後の住所変更は必ず14日以内に行う | 留学生を採用する際は出席率とバイト時間を確認 |
| 在留カードを常に携帯する | 派遣の場合、派遣先での業務内容を精査する |

